ソーマトロープ Thaumatrope
1825年にイギリスの地質学者w.H.フィトンと医師J.Aパリスが考案して子供用に発売した玩具。
絵を描いた円盤の左右にひもを付け、ねじって回転させると、表裏の絵(鳥籠と鳥など)がひとつに重なります。動きのある絵や画像の合成など、ふしぎな視覚効果がそこに出現します。
人間の網膜が持つ「残像現象」を応用して、19世紀に大きく花開く、アニメーション装置の発明ラッシュ時代を生み出した映像玩具です。今日の映画の源に位置づけられることもあります。
ニュートンの回転円盤による色彩の融合実験や、Jハーシェル卿が金貨の裏表を同時に見せて友人との賭に勝った逸話など、残像現象じたいは以前から知られていました。箱入りで売り出された円盤型のソーマトロープの他にも、四角い両面で作られたものがあり、現在でも簡単に作ってみることができます。
私たちがコンピュータのお絵描きソフトなどを使って、2コマのアニメーションを作ったりするのもこの玩具と同じ仕組みです。
フェナキスティコープ Phenakisticope
1832年ベルギーの科学者ジョゼフ・プラトーの発明。
円板(円板には心棒を取りつける)に連続して描かれた絵の間に切り込み(スリット)を作る。
円板を鏡の前で早く回転させるとスリットから見える、鏡に映ったその像は一連のはっきりした動きを示す。
ゾートロープ Zootrope
イギリスのジョージ・ホーナーにより考案される。
1834年の雑誌にディダラム(Daedalum)と命名し発表したが、のちに別人により商品化され、ゾートロープと名付けられた。
回転できるドラムの内側に一連の絵を貼り付け、ドラムの外側にある切り込み(スリット)からのぞき見る。
プラキシノスコープ Praxinoscope
フランスのエミル・レイノーの考案した装置。1877年7月20日に科学アカデミーに報告し、8月30日に特許申請する。
回転する小さな円環の内側に連続する絵の紙フィルムをまきつけ、中心に角度をつけた10個の鏡取りつける。鏡の上にはランプをおき、その光で鏡に映る絵の動きをみせる。(光の反射による虚像の運動)
プラキシノスコープ(投射式)
パントマイム「可哀相なピエロ!」の一場面
「ラ・ナチュール」1892年2月(CDHT,CNAM)
グレヴァンの蝋人形館で催されたレイノーの光学芝居。
上映時間は19〜15分位のもので、フィルムは1コマづつ手書きされている。
アニメーションの原点である。
プラキシノスコープ(投射式)
回転活動映画(1882年のおもちゃの見本)
「ラ・ナチュール」1882年2月(技術博物館、CNAM)
回転活動映画おもちゃは、ここで映写機に取りつけられる。
写真銃
フランスの生理学者マレーの発明。
1秒間に12枚の写真を撮影することができ、動きの分析ができる。
写真銃の分解図
クロノフォトグラフィカメラ Chronophotographiecamera
マレーの設計。
三脚付きの大型カメラである。写真銃は小型で携帯できる。
円板の周囲にスリットを切り込んだ回転シャッターをカメラのレンズの前で回して高速多重露光をおこなう。
動きの各段階は一枚の写真であらわす。
アニマルロコモーション
マイブリッジ(アメリカの写真家)
撮影は一列に並べたカメラで次々に写す。再現はゾーアプラキシノスコープを使って投影する。
ゾーアプラキシノスコープは投影式フェナキスティコープに基づいている。


写真集「運動する人体」(1901年出版)の一画面。