授業NO.003
授 業:「手で考えて、見つけよう」
対 象:群馬県高崎市立長野小学校(2クラス)38名、39名
日 時:2005年1月17日・18日

普段、総合学習の時間で学んでいる「人・もの・夢」をテーマに、素焼き粘土でキャンドルスタンドを作ります。みんなそれぞれ、自分のかたちを見つけることができるでしょうか?
講 師:塩澤 宏信(陶芸家/1987年本学油画専攻卒業)

1月17日・18日(クラス単位の授業)
「夢についての話」(レクチャー)
 教室で、まずは塩澤先生自身の夢について話を聞きます。先生は生き物が大好きで、こどもの頃は生物学者になりたかったそうです。それからどんな過程を経て、陶芸家になることになったのでしょうか。みんなの夢もこれから変わっていくのかもしれませんね。

9:20〜10:00
「制作活動についての話」(スライド)
 放送室に移動し、スライドで塩澤先生の作品を見ます。恐竜の骨のようだったり、巨大な車輪の遺跡のようだったり、不思議なかたちがたくさんありますね。
どうしてこのかたちが生まれたのか、なぜその場所に置こうと思ったのか、先生に聞いてみましょう。また、作品を制作したり、人に見てもらうためには大勢の人の協力や、たくさんのお金が必要です。制作活動を続けるということは大変なんですね。


 

 今回作るキャンドルスタンドの見本を、塩澤先生が持ってきてくれました。暗い中で火を灯すと、粘土の隙間から光がもれてとてもきれいです。どのように見えるか想像しながら、自分たちが作るものを考えましょう。 
10:00〜12:00
「手を使って、作ってみよう」(制作)
 まずは先生がみんなの前で作り方を実演します。缶や瓶に新聞紙を巻いて、それを芯に、粘土を筒状にくっつけていきます。作業の流れがわかったら作り始めましょう。アイディアが浮かばなくても、手を動かしながら考えていきます。作っていると、次第に自分のかたちが現れてきました。
完成まで
作業が終わったら1週間乾燥させて、窯で焼きます。その作業は担任の先生にお願いしました。先生方も塩澤先生に、陶という素材の性質についてアドバイスを受けられています。どんなふうに焼き上がるか楽しみですね。完成したらぜひ、みんなでキャンドルを灯してみてください

 



筒ができたら受け皿も作ります。記念に自分のサインやマークを入れましょう。


先生といっしょにみんなで記念撮影!!
「完成!!」
1週間の乾燥を経て担任の先生に窯焼きをお願いした作品が出来上がりました。それぞれ自分の家に持ち帰って、キャンドルをつけてみましょう!!

出前アート大学授業No.003 「手で考えて見つけよう」
講師 塩澤宏信 (陶芸家/1987年本学油画専攻卒業

「陶でキャンドルスタンドを作る」

  小学校6年の図工の授業で「キャンドルスタンド」を陶で毎年作っているが、これを、出前アート大学の授業で出来ないか?という依頼を受けました。はたして6年生の図工の授業がどのように行われているのか、また過去どのようなキャンドルスタンドを作っているのか、など皆目わからないので依頼のあった長野小学校見学へ。まず現状の図工の時間での陶芸への取り組み等を伺ったうえ先生方と話し合い、児童に教えるだけでなく、先生方にも技術的なアドバイスをお伝えする事で、授業が一過性のものにならないものにしたい。総合学習の時間でとりあげた「人・もの・夢」というテーマをモチーフにする。その2点を確認し、授業の内容を考えることにしました。
 「手で考えて、見つけよう」これが今回の授業のもう一つのテーマであり、伝えたかったことです。必ずしも計画どおりに進まなくてもよい。むしろ自分の計画や最初の考えに縛られずに作っていく。途中でオモシロイ形を見つける、あるいはオモシロイ考えが浮かんだらその世界を広げて行こうということです。技法としては誰でも間違いなく形が出来上がるよう、筒に粘土を貼り付けてつくる方法をとりました。そして作る際には明確な完成形のイメージを持たず、目の前に現れてきたかたちをよく見て次に貼り付ける粘土のかたちを考える。また、もし作ったかたちが気に入らなかったらまた粘土をとって作り直す。とい うふうに、作りながらかたちやアイディアを発見することを、最初に講師が実演しながらアドバイスし、制作に取り掛かってもらいました。そのあとは極力手を貸さず最小限の技術的なアドバイスのみに留めるように心がけたため、なかにはなかなか形にならない人もいましたが、さすがに6年生ともなると最後にはしっかりと自分の形を完成させていました。最後に長野小学校の先生方にはあたたかく協力して頂き、本当に感謝いたしております。有難うございました。