授業NO.004
授 業:「つくれるんだ!じぶんのえほん」
対 象:西多摩郡日の出町立平井小学校 1〜6年生 77名
日 時:2005年7月2日
身近にある、せんたくバサミやストローを使って工作やゲームをしたり、自分だけの絵本も作ります。「作って遊ぶ」がテーマの授業。一体どんな授業が待っているのでしょうか?
講 師:きむらゆういち(絵本作家/1972年本学油画専攻卒業)

7月2日 13:00
「トントンゲーム」
まず、画用紙に自分の好きな動物の絵を描いて、ハサミで切り取りましょう。その動物の裏側に、せんたくバサミをセロハンテープで貼りつけて、切った輪ゴムをせんたくバサミの2つの穴に通します。両手に輪ゴムを持って上下にし、上から動物がトントンと降りてきたら、「トントンゲーム」の完成!逆さにしたら、またトントンと降りてきます。完成したら、みんなで競争しましょう。このゲームでは、降りてくる動物が一番遅い人が優勝です。
13:50
「トランポリン」

 ふたたび画用紙に、動物の絵を描きましょう。ハサミで切り取ったら、今度はせんたくバサミを2つ、動物の下の左右にはさみます。大きな画用紙の上に動物を乗せたら、画用紙をゆがませて、“パンッ”と強く引っ張ります。動物が“ぴょーん”と高く飛んだら、大成功!高く飛ばして、着地も上手にできますか?みんなで競争してみましょう。
14:40
「ポップアップえほん」
 きむら先生オリジナルの「ポップアップえほん」用紙がみんなに配られます。そこには実線や点線が引いてあるので、線に沿ってハサミで切り込みを入れたり、山折りや谷折りをしてみましょう。ほら、本の形になって、ページをめくると「ヒヨコの口」や「ゾウの鼻」、「クマの頭」が飛び出してきますね。でも、これで完成ではないのです。せっかく出来た絵本だけど、用紙を広げて裏返しにして、折り直します。すると、動物が消え、飛び出す部分だけが残った真っ白な本が出来ました。飛び出す部分は何に見えるでしょう?何かひらめきましたか?飛び出す部分と余白を利用して、自分だけの絵本を作りましょう。みんなの想像力で、「ヒヨコの口」がおばけの口に、「ゾウの鼻」が“あっかんべー”をしている顔に、「クマの頭」が、ヘディングしているサッカー選手に・・・色々なものに変身しました。自分だけの「ポップアップえほん」、どんなお話が出来ましたか?ぜひ、みんなに読んで聞かせてあげてください。





15:45
「カミコプター」
 
1cm幅に切った牛乳パックとストロー1本…たったこれだけで「かみコプター」を作ります。プロペラ部分になる牛乳パックを半分に折って、切り込みを入れたストローにはさんで、セロハンテープで貼りつけます。牛乳パックを、矢印の形(30度位の角度)に折って、開いたら、あっという間に完成です。



完成
今日は、身近にあるもので、工作をしながらみんなで遊びました。ただの真っ白い画用紙からは、自分だけの「ポップアップえほん」も出来上がりました。お家にあるものだけでも、ひらめきさえあれば、色々なものに変身しますね。特別な材料はなくてもいいんです。ぜひ、お家に帰ってもチャレンジしてみましょう。
「記念撮影!」
校庭に出て、みんなで記念撮影!
出前アート大学授業No.004 「つくれるんだ!じぶんのえほん」
講師 きむらゆういち(絵本作家/1972年本学油画専攻卒業
 
 
ボクが多摩美の学生だった頃は、大学紛争の真っただ中でした。授業のない日が続き、バリケード、自主ゼミ、デモやロックアウトと、とてもドラマチックな毎日でしたが、その中でボクが学んだことがありました。
 それは、あたり前のことをあたり前と思っていては、何も生まれない。全てのことを一度疑ってみて、自分の目で原点から考えてみよう、ということでした。
 もしかしたら、その時の考え方が、今のボクの仕事の根底に流れているのかもしれません。飲み終わってしまえば、ただのもえるゴミだと思われている牛乳パックも、材質や形を見直すと新しいおもちゃの素材になることも、おばけだと思っていたものが、実は花とちょうちょだったりするしかけ絵本も、昔話でいつも悪者役のオオカミも本当に悪い奴なのかというお話も、全て原点はあたり前のものをあたり前と思って送っている日常生活からは、生まれて来ません。
 そうやってちょっと視点を変えてみるだけで、いろいろな発見や感動があり、毎日が楽しくなります。
 今回の出前アート大学では、そんな楽しさが子どもたちに少しでも伝わればという思いもあって、引き受けました。センタクバサミやワゴムという日用品から、こんなおもちゃが生まれ、みんなで楽しく遊べるんだ。ということを実践してみたり、ポップアップ絵本を言われるままに作れた。と思ったら、それをひっくり返して出来た白い絵本を、自分で考えて作ろう!などを一年生から六年生まで同時に行ないました。頭のやわらかい子どもたちは、ひとりひとり自分で考え、それぞれ個性豊かな作品が生れたのには、ボクも感動したくらいです。
 みんな実に楽しそうに作ってくれたので、ボクにとっても、楽しい一日でした。