授業NO.008
授 業:「墨であそぼう」
対 象:千葉県流山市流山北小学校 2年生30名
日 時:2006年3月7日
黒の中にもさまざまな色があることを発見したり、筆に水をたっぷり含ませて滲みを楽しんだり…。大きな紙いっぱいに自分の作品を完成させました。
講 師:中野 嘉之
(日本画家/1970年本学大学院日本画修了・本学日本画専攻教授)
3月7日
10:20〜10:40 レクチャー:「墨のこと」

 授業の始まりに、中野先生より墨の扱い方、描き方などを教えてもらいました。イメージを膨らませやすいように、テーマを「強い・弱い」に設定しました。画家の手から生まれる迫力のある線、繊細な線など、自由自在な表現を見ていたら、みんなも早く描きたくてそわそわしていたようです。

10:40〜11:50「制作」
 さて、ここから本番です。茶系と青系の2色の墨、とても太い筆と大きな紙。強い、弱いって何だろう?わたしたちの心配をよそに、みんな迷いもなく、紙の上に大胆に墨をのせていきます。元気よく3枚、4枚、と描き上げていきました。



11:50〜12:15「トリミング、裏打ち」
 
描き終えた作品の中から、気に入った1枚を選び、B2サイズの大きなボードに裏打ちします。作品の良い部分を生かしてトリミングし、切り取ります。すると、自分の作品がまた違った表情をみせるのが不思議です。これで午前の制作は終了です。このあと、学生スタッフを中心に裏打ちを行ない、午後の鑑賞会にむけて、教室を整えました。


13:40〜14:55「鑑賞会」
 昼食後、作品の鑑賞会です。中野先生より、ひとりひとりの作品についてお話をしてもらいました。その暖かく、心のこもった先生の言葉に自信をもった児童もたくさんいることでしょう。大きな画面に向かって、のびのびと表現することの気持ちよさが、みんなの絵から伝わってきます。


■おわりに
 出前アート大学より終わりの挨拶をし、授業は終了しました。最後に2年4組の児童が、お礼に「ビリーヴ」という素敵な歌を、目の前で合唱してくれました。授業終了後には、流山北小学校の先生やPTAの方々へ向けたレクチャーも行ないました。中野先生の授業に対する考え方や指導法を伺ったり、質疑応答も行われ、非常に有意義な場となりました。
出前アート大学授業No.008
講師 中野 嘉之(日本画家/1970年本学大学院日本画修了・本学日本画専攻教授)

出前アート大学を終えて 

 平成17年度最終の出前アート大学の授業「墨であそぼう」と題して、午前2時間、午後2時間程の授業を行ないました。本番の授業の前に、何度も打ち合わせに行っていただいたスタッフの皆様には、ご苦労をおかけしました事、大変感謝しております。完璧なほど、準備が整っており、非常にスムーズに授業に入ることができました。
 小学2年生で、まだ墨、筆、特殊な紙、全てが初めて見るもの。その素材で経験のない子供達に、端的に解りやすくするために、「強・弱」強いもの、弱いもの、と言う表現で、子供達がどう感じるか。感じられる範囲で理解させられるか、少々不安を感じておりました。少し理解させにくい箇所もありましたが、始まってしまえば、案じた事もふっ飛び、我々が想像もし得ない、ストレートな表現が続々と出るわ、出るわ。大学の授業の中でも、墨の授業をするのですが、大学生は常識を排除することから始まります。日本画の学生が5人、油画の学生が2人、この大学生達にも勉強になったようです。
 驚かされたことは、ストレートなパワー、このエネルギッシュな息吹は、これから歩む自分の目標の、10年の息吹となるように思えます。感謝感謝。
もう一つ驚かされたこと、「北風を描いた」と言った子供が存在したことと、ただ一向、点だけを繰り返す、線だけを繰り返す、この表現をした子供に心引かれたこと…。作品の出来映えには、満足しております。充実した良い1日でした。
ビリーヴの澄んだ歌声と共に、久し振りに晴れ晴れしい気分になりました。お手伝いして下さった皆様、スタッフの皆様にもう一度、お礼を申し上げたい。