授業NO.014
授 業:「動く4コママンガ」
対 象:鹿児島県奄美パーク田中一村記念美術館
日 時:2007年3月10日・11日
“アニメーションって楽しい”をテーマに、人形を作って動かす立体アニメーションに挑戦です。奄美大島の島内から集まってきた小学5・6年生18名を対象に、“クレイタウン”というアニメーションソフトを使って作品を完成させます。さあ、どんな「動く4コママンガ」が完成するのでしょうか?
講 師:野村辰寿(アニメーション作家/1987年本学グラフィックデザイン専攻卒業)

2007.03.10 sat. 09:00〜09:30
「野村先生の作品紹介」(レクチャー)

 先生は、普段どんな作品を作っているのでしょうか?この日のために、沢山のアニメーション作品を紹介してくれました。いろいろな表現方法で制作された魅力的なお話に、みんなが惹き込まれました。このあと、6班に分かれてグループ制作にとりかかります。


09:30〜17:50
「人形作り、撮影、編集」

 自分が考えた主人公(キャラクター)を、お友達の考えたキャラクターと、どんな風に絡めてお話を作りあげるかがポイントです。カラフルな小麦粘土、貝殻、石、木の実、キャップ、木切れなど身近な素材を使って人形と舞台を作り、撮影をスタートします。アシスタントスタッフのお兄さんにアドバイスをもらいながら進めていきます。
2007.03.11 sun. 09:00〜15:00
「撮影、編集」

 撮影舞台に備え付けたカメラで一コマ一コマ撮影をしていきます。人形を動かす役、撮影をする役を交代しながら進めます。一場面を撮り終えたら、パソコンで再生して確認します。この作業の繰り返しは、とても長い時間がかかりますが、仕上がった立派な作品をみると、そんな疲れも忘れてしまいます。ひと作品はだいたい1分くらいに仕上がり、最後に音を付けて作品が完成しました。 




16:00〜18:00「上映会」
 大きな会場に移動して上映会をしました。自分たちの作品を大きな画面で見られることは、なかなか出来ない経験です。班ごとに壇上に上がって、今回の授業の感想を話しました。奄美パーク園長の宮崎緑さんからも、素晴らしい作品ですね!とコメントをもらいました。最後に野村先生から各班へ、“むるむぜらっしゃ賞”(とてもおもしろい賞)など奄美の方言で書かれた手作りの楽しい賞状が贈られました。

■おわりに
 今回の授業では、小学校の校長先生や地元の高校生たちなど多くの方々が見学に来てくださいました。東京から遠く離れた奄美大島で授業を開催できたことは、出前アート大学にとって大きな自信に繋がりました。後日、制作した6作品をまとめたDVDを、児童や実施関係者の方々へプレゼントをしました。

「動く4コママンガ」
講師 野村辰寿 (アニメーション作家/1987年本学グラフィックデザイン専攻卒業) 

 

 『動く4コママンガ』って?要は『アニメーション』のことだ。では、なぜ端的に『アニメーション』と記さなかったのか……動かないものが動けば、それだけでも充分楽しい『アニメーション』になる。でもそれだけではなくて、4コママンガのような短いながらもお話のある作品を、子どもたちに作ってもらいたかったからだ。アニメーションを作るということは、いろんな技術的な要素や計画性が必要になる。そのため、我々プロでも『絵コンテ』なる設計図をもとに制作するのが基本だ。そこで、今回の出前アート大学では異例の宿題(当日作るアニメーションのための4コママンガ=絵コンテ)をだした。ところが、昼夜忙しい奄美の小学生から届いた絵コンテは、たったの1通。……そうだよな。大人でもむずかしいもん。急遽予定変更。集まった子どもたちといっしょにワイワイ作ってみる。どこまでできるかわからないけど「止まっているものを少しずつ動かしていけばアニメーションになる」そのことだけを楽しく知ってもらえればいいや。最終的に応募してくれた18人の子どもたちと、多摩美でアニメーションを学ぶ学生と卒業生のサポートメンバー7人による2日間にわたるセッション。子どもたち3人とサポートお兄さん1人がチームになって、話を考え、絵コンテを描く。もちろん子どもたち主導だ。身近な素材を使ったオリジナル・キャラクターを作る。パソコンを使った簡単な撮影システムを体得した子どもたちは、自分で作ったキャラクターを自由にどんどん動かし、キャラクターに命が吹き込まれる。いい話、笑える話、シュールな話、チームによってさまざまだが、圧倒的な『動く4コママンガ』が出来上がった。