授業No.030
授 業:「オリジナルの色と形でカーテンを作ろう!!」
対 象:
八王子市立宮上小学校
日 時:2009年12月18日
30回目の授業は、八王子市立宮上小学校で6年1組21名・2組22名(43名)を対象に実施しました。講師は、デザイナーの飛田正浩氏(1995年本学染織デザイン専攻卒業)です。飛田先生は色や形の重なりから生まれる表情の発見を楽しみながら、生地に染色・プリントを手作業で行ない、服作りをしています。今回、その方法(シルクスクリーン)で児童は大きな布にデザイン・プリントをします。その後、縫製工場にて小学校の図工室のカーテンになります。手作業と専門家の仕事を体験する授業です。
講 師:飛田正浩(デザイナー・spoken words project主催)

2009.12.18 fri. 8:45 〜9:30
「飛田正浩氏のご紹介」
 はじめに飛田先生のご紹介です。spoken words projectが掲載されている雑誌や、洋服を売っているお店、ファッションショーや展示会の様子をスライドで鑑賞しました。飛田先生が感じているカーテンの魅力についてこんなお話がありました。「自分のテリトリーを人の目から隠している様で見せている、空間を区切り遮断する機能があるが、見る人の心を惹き付けることができる。そんな風に人とコミュニケ—ションをとれる不思議な魅力をもっているのがカーテン。また、カーテンは多くの人に見て親しんでもらえるよさがあるテキスタイルです。」




9:40〜11:30
「スケッチからシルクスクリーンの版を作る」
 児童は6班に分かれ班ごとに、飛田先生の考えたテーマ(水、空、風、音、植物、街)から連想する言葉を書き出し、言葉からイメージした形を事前にスケッチしてきました。この時間では事前に描いたスケッチをシンプルに見やすい図へと変えていく作業を行います。「どんな風に線 を描いたら自分のイメージが、人に伝わるのか考え、デザインしよう」と飛田先生からお話がありました。先生と相談しながら、版となる「しぶ紙」に何度も描き直し、版を完成させました。

11:35〜12:20
「試しプリント」
 シルクスクリーンの手順を講師がデモンストレーションしました。次に作った版で試し刷りを行ないました。2人一組になり、1人はしぶ紙の版の上に紗(しゃ)を張った枠をのせ、その上にインクをおきスキージでプリントを行い、1人は枠を手で押さえます。終わった班から飛田先生があらかじめ下地となる模様をプリントした布に、好きな色を作って自分の考えたオリジナルの形を重ねていきます。
偶然からうまれる色や形の重なり、現象を楽しみます。


13:45 〜15:15
「カーテンにプリント」
 いよいよカーテンとなる生地へプリントをします。テーマに合わせてグループごとにレイアウトや色の相談をしました。プリントを重ね合わせたり、同じ版でいろいろな色でプリントをしたりと様々な工夫をして楽しみました。この日の授業はここまでです。児童がプリントした生地は縫製工場に出してカーテンに仕上がります。



2010.3.5 fri. 10:45 〜12:20 


「カーテン完成」
 プリントした生地はspoken words projectの生地と繋ぎ合わされ、カーテンに仕上がりました。カーテンを体育館に並べお披露目会をしました。テーマからどんなイメージをして何を伝えたかったか班ごとに児童がプレゼンテーションをし、講師がデザイナーの視点からコメントをしました。児童と飛田先生とコラボレーションしたカーテンは児童が卒業した後も、宮上小学校の図工室の窓で使われ続けます。



出前アート大学を終えて
講師 飛田正浩(デザイナー・spoken words project主催 /1995年本学染織デザイン専攻卒業)

ワークショップの感想と言う事であえて製作プロセス談は置いといて、生徒の印象、傾向等を話したい。製作当日、一抹の不安としてあったのが「彼らはどれ位ノッて製作 をしてくれるのか?」と言ったもの。結論から言うと、全体に集中出来ていたと思う。雰囲気は凄く良 かった。満足している。
そんな中でも才能を発揮してくれた個人は自分の世界観を持っているタイプ。他人を気にせず没頭し、頑固と迄言えるほどのこだわり君達。それは男子に多く、彼らはあまり目立たないタイプのおとなしめ。「センセー、彼女いるのー?」なやんちゃタイプは仲間を意識するのか少し遠慮気味。女子も同じく。ワークショップがもう少しフィジカルなものであったなら、この例ではないだろうが。担当の松野先生から様々な生徒のエピソードをお聞きしたが、才能 を発揮してくれた彼らの中の数人は、少し寂しさを抱えている子供達である事も知った。良いではない か!その方向で寂しさをやっつけていって欲しい。没頭している生徒は思いを良く話してくれる。良く話す、多く話す事に色々な事柄のテーマが有ると実感した。正直に話すと、お別れは悲しかった。一人一人ハグをしたかった。 彼らは気持ちをもっと前に出して良く話し、夢を実現していって欲しい。言っていれば叶うのだから。