授業No.032
授 業:「自転車サミット」
対 象:立川市立第七小学校5年生29名
日 時:2月23日(火)8:50〜15:20
第32回目の授業は立川市立第七小学校にて5年生29名を対象に行いました。講師はアーティストユニットKOSUGE1-16(土谷 享氏 2001年本学油画専攻卒業・車田智志乃氏)です。KOSUGE1-16は日常のありふれた環境や、現象、人のつながりをきっかけに作品を制作しています。鑑賞者が参加することで作品が変化していくプロセスそのものを作品としています。今回は「自転車」をテーマに、普段とは違った視点から自転車について討論をした後に、「放置自転車にならない自転車」を制作しました。普段あたりまえに感じている決まりごとを、いつもと違った視点から見つめ直し、不便や制約も自分の考え方次第で、前向きに楽しむ方法を考え、発表します。
講 師:
KOSUGE1-16 土谷 享(美術作家)・車田智志乃

2009.223 Tue.8:50〜10:25 
「自転車サミット」
1・2時間目は映写室に特設されたサミット会場で「自転車」について、議員となった児童と議長であるKOSUGE1-16と一緒にサミットを開催しました。
児童は講師デザインの缶バッチを議員バッチとして胸につけました。
自転車の歴史や講師の作品の紹介が講師からあり、それをもとに講師から議題が投げかけられ児童達は意見を述べ、討論を行いました。
また、事前に出された課題「私と自転車」「街と自転車」について発表をしました。そして、プロロードレース選手であるランス・アームストロング氏※の、型破りなレースに対する方法論を元に、簡単に正解を出すことのできない事柄について話し合いをしました。児童達はそれまでに討論された自転車に対する見識を得たあと、最後に「放置されない自転車」をテーマについて討論し、8班に分かれてどんな自転車を制作するかアイディアを出し合いました。


10:45〜12:20 
「放置自転車にならない自転車」制作 (場所:体育館) 
3、4時間目では実際の自転車を用いて制作を行いました。講師のレクチャーを受けながら、各班に1台ずつ配られた前輪のついていない未完成の自転車へ前輪を取り付けました。また、自転車の構造や自転車独自の部品についてもお話がありました。
前輪の取り付けが終わった班から、放置自転車にならない自転車の制作を行いました。

 




13:45〜14:25 
「制作した自転車の発表/講評」 (場所:体育館)
花や甲羅や雪の結晶などの写真を見ながら、自然の中には同じ形の連続や、中心から対称に広がる決まりがあることの説明がありました。今回は雪の結晶にならって、中心から広がる六角形に道具を並べます。条件や制約などのルールを活かすところからアイデアが生まれることを経験してもらうのがねらいです。



 

14:35〜15:20 
「まとめサミット」
一日を振り返り「まとめサミット」を行いました。講師が伝えたい「アートは視点を変えれば、みんなの身近な場所にもきっかけがある」ということを言葉と制作で実感し、正解を導くことが全てではなく、自分なりに考え、その考えを伝える大切さを学ぶ授業となりました。

 

 

 


「自転車サミット」
講師:KOSUGE1-16 土谷 享(美術作家/2001年本学油画専攻卒業)・車田智志乃


アーティストインスクール的なプログラムが様々な主体によって各地で行われていますが、KOSUGE1-16も今回以外に様々なプログラムを行って来ています。毎回思うことは、教育者ではないし、持続的な関りを持てるわけではないので、講座的、あるいはイベント的なプログラムになってしまいがちです。「アートは無責任なのでは?」と、この部分に毎度後ろめたさを感じています。
明治以降、私たちの先輩達が培ってこなかった「見る人」や「支える人」の育成。これに言い訳をする様に増え続ける「社会とアート」というキーワード。しかしながらこれで解決しているとは思って欲しくはない。少なくとも、美術大学という装置とリンクしやすい校友会という主体がおこなっている「出前アート大学」という試みが、逐一しっかりとした分析の対象となり、アーカイブされていくような構造をもって欲しいです。ここからアートのキャンペーンを脱して欲しい。