たった一言で 以前のコミュニケーションは具体的な場所を必要とした。そこには写本があり、後にそれは書籍となった。我々はある時一つのイメージ、一つの言葉、一節の文、一冊の本から情報を得ることを知った。約1000年前には図書館が知識の基盤を支えるものとして存在しはじめた。地理学、数学、デザイン、またその他の様々な分野における情報はある制約の下、本棚の上に保管されていた。 今、想像を馳せてほしい、ペンで書かれたあらゆる写本と印刷されたあらゆる書籍のイメージ、言葉そして一節に。想像してほしい、天空に絶え間なく流れる多くの詩歌を。あらゆるイメージ、言葉、一節そして書籍はあらゆる別のイメージ、言葉、一節そして書籍につながれていく。その行為は延々と続く。そこには本棚もなく、障壁もなく、制約もない。 知の保証は混沌とした世の無政府状態によって無くなってきている。しかし、我々がよく知っているように混沌とした世でさえも秩序は存在する。そして芸術家、デザイナー、学生そして教育者たちはその秩序を探し求める。これまでの階級性の強い社会構造では単一のものの見方や考え方を人々に押し付けてきた。それらは、地域に根差す政治的支配、歴史的に培われた文化的背景やその他の制約を反映している。40憶を超える人々がこの星に暮らしている今、人の数だけ正しい道が存在し得る。インターネットにはあらゆる制約がなく、全ての人々に平等に、個人的レベルの利用をする権利が与えられている。 教育環境でも誰もが自由にインターネットを利用している。世界中から寛容、尊敬、礼儀そして道徳的に大切なものが情報となり発信される。その情報に我々は導かれている。そしてきっと、きっとそれは英知となり、我々はいつの日か人間地球村をつくることができるだろう。 Ontario College of Art & Design, Toronto モーリス　バーンウェル また、この記事の全文と参考文献の案内はこちらをご覧ください。