美術教育について 現在、多摩美術大学の八王子キャンパスでは、21世紀の美術教育を想定した、創造者のための教育環境づくりを目指し、最新の設備を有する新校舎が続々と建築されています。それに伴い教育改革も実施され、芸術系・デザイン系・芸術理論系および芸術工学系の学科を有する、学部の改組が計画されています。 従来の大学教育は、定型的学力重視の方向と、創造的表現力重視の方向に、二極分離していました。しかし、産業が人間性重視の構造へと発展し、世界的な情報時代へ移行している現在、美術教育においても、論理的な科学技術の思考と、芸術的な造形表現の両面を含む新たな教育が必要となってきました。 我が国においては経済大国から文化大国への変換をせまられています。人間性を中心にした人間環境へと視野を開いた、新しい美術の分野を開拓していく創造者を生み出す必要があります。21世紀が、現代の情報技術を基盤とする、新しい文化芸術の時代とするならば、多摩美術大学の社会的使命は大きなものがあります。 教務部長　高橋　士郎