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「動」のブックマーク
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現在のコンピュータのファイル形式は階層構造が主流である。簡単に言えば「このファイルはあのフォルダの中に入っている」というしくみである。そして、コンピュータの世界では根幹のファイルシステムがこの構造なので、コンピュータ内の全ての関係を階層構造で表そうという傾向がある。私はこれはすこし無理があるように思う。ウェブページの ブックマークの管理などがいい例だろう。

まず、一つの ブックマークは複数のカテゴリーに登録できないという問題がある。階層構造では一つのファイルは必ず一つのフォルダにしか登録できない。だから ブックマークは無理やりどれか一つのカテゴリーに登録するか、複製かエイリアス化してそれぞれのカテゴリーに登録するしかない。また、階層構造では ブックマークどうしの関係の表現が出来ないというのも問題の一つだろう。階層構造は箱とその中身という関係しか表示できないので、例えば二つの ブックマークの親密さなどの表現が全く出来ない。つまり階層構造はモノの位置を指し示すだけであって、個々のモノどうしの関係は記述できないのである。

では関係表現には他にどのような方法があるのだろう。関係だけを記述する方法としてグラフ構造というしくみがある。これはモノどうしの関係の度合いを線で結んで表したようなしくみである。これだとモノどうしの関係が一目瞭然になる。しかし、これは視覚的に煩雑になりがちで、視認性や管理という観点から少々問題がある。が、関係を記述するのには非常に適したしくみである。

私は現在、画面上の「動き」というものを研究している。コンピュータの画面上にいかに表現豊かな動きを生成するか?また、その動きを使ったものにはどんな可能性 があるか?それが私の現在の研究内容である。「関係性からみたエコノミー」というシンポジウムのテーマを聞いたとき、私は自分の現在の研究内容と照らし合わせ「関係」と「動き」にはどのような接点があるのかをしばらく考えた。既存の関係の表現を動きで表せないか?そして「静」ではなく「動」を使って初めて出来る効率的な、つまりエコノミーな関係表現とは?

そこで、私は階層構造とグラフ構造を十分に考慮し、そこに「動き」という要素を加えることにより、新しい ブックマーク管理の仕組みを作り出した。名付けてMotion Bookmark。少々短絡的な命名のような気もするが、要は動きで ブックマークやカテゴリーの関係を表現するのである。動きという要素が全てのため、紙面では分かりにくいのが残念だが、図にも示したように、マウスで選択した ブックマークまたはカテゴリーに関連するものが動きでわかるように設計してある。今までの「静」では表現できなかった関係が「動」によって表現できていると自分では思っている。この関係の表現法をさらに身をもって体験していただくため、是非ウェブページを見ることをお勧めする。

国際メディア研究財団
古堅 真彦


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