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デザイン・カリキュラム
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理論物理学者の立場から、デザイナーを志す学生たちにデジタル・メディアの基礎技術を教えようと思った最初の動機は、デジタル・メディアにおけるデザインをするに当たり、そのメディア特有の問題を解決する技術を彼らが全く知らない、と感じたからである。

私の授業での第一のゴールは、インターネットに関わる問題を解決するには、どのような技術があるのか、そしてどのようにその技術を利用したら良いのかを教えることにある。

新しいメディアの技術は、従来のメディアのものよりもずっと複雑だと思われ、しかもデザイナーにエンジニア的要素まで要求されている。しかしデジタル・メディアデザイナーとエンジニアの距離を縮めたとは私には思えない。逆にもともと情報交換をするのにデジタル・メディアを使っていた人々は技術専門、デザイン専門、と分かれて行っているようにみえる。

しかしながら教育システムにおいては両者の距離は非常に近い。現実的にはデジタル・メディアを利用したコミュニケーション、という同じ目的を持っているにもかかわらず、全く別物として扱われている。この状況が技術とデザインという分野の二極化に拍車を掛けている。

第二のゴールはデザイナーを志す学生の制作や作品に必要な技術を提供することにある。私は彼らにデジタル・メディアの基礎技術のコンセプトとそのコンセプトを表現する語彙も学んでほしい。ここでのゴールはエンジニアになることではなく、技術的には別の領域で働く人たちと実りあるコミュニケーションが取れ、協力できるようになることである。

メディア・コミュニケーションにおいては、メディアの特性が伝達された情報の意味と構造に影響を及ぼす。デジタル・メディアにおいては、技術の特性が構造上はコミュニケーションの経緯を圧倒してしまう。このようなことは新しいメディアが生まれて発展していく段階でよく起こることである。しかしながら、メディア言語はその内容とそれ自体の本質的な面と偶発的な面に気づくことによって完成されていく。

第三のゴールは学生にデジタル・メディアを通じて、その中で創られるコミュニケーションと情報構造とは何かに気づかせることにある。これは学生に、現時点で可能なものではなく、デザイン解決のための別の構造を意識的に利用するか否か理解させることである。

技術的な領域においてデザイナーを育成するための教育には、私が先に述べたように三つのゴールがある。結論としてデザインと技術は対照的であることを強調したい。コミュニケーションにおけるこの二つの面は、同等に高度な技能と労力を要する。それらは比較の対照ではないが、互いの協力が必要である。そしてデザイナーが彼らの言語を学ぶには、時にはエンジニアにならなくてはならないことも確かである。それは非常に有益なことである。そしてまた、正反対の見解は全く価値がなく、エンジニア的要素はデザイナーにとっても有効なのだ。

エンジニアのためのデザイン教育もまた重要であることは言うまでもない。

ART+COM
ステファン メシュカット


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