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新しいデザイン教育の構想
制作と知識の統合教育
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情報デザイン学科は、ものごとの表現・デザイン設計にかかわる次世代の専門家を育てるために、98年4月、多摩美術大学八王子校舎に誕生します。「作品の制作」と「知識の構成」を統合して学ぶ、全く新しい教育・研究カリキュラムが提供されます。

これからの社会に求められているのは、地球規模から日常生活までにわたるさまざまな問題を感じ、発見し、それに対する創造的な解を形として実現する専門家です。本学科は、メディア・アート、ヒューマン・インタフェースとネットワーク・デザイン、そしてソフトウェア工学など、人間とメディアと環境にかかわる幅広い問題領域を対象とします。そして芸術家であり、技術者であり、デザイナーである新しいクリエーターが生まれることを教育と研究の目標にします。

本学科の基本カリキュラムは、純粋美術からデザインまでを総合化した全学共通科目と連携しながら、次の緊密に結びついた三つの科目カテゴリーで構成されます。

「統合としてのデザイン」
「知のネットワーク」
「思考の組立」


「統合としてのデザイン」は、本学科のカリキュラムの中核となります。学生達はさまざまなプロジェクトに参加し、時間をかけて作品を制作します。人工物、人工環境を形づくるために、何を考え何を行うかという、ものごとをつくり出すプロセスを知り、そして創造的な思考を身につけることができます。

「知のネットワーク」は、芸術と表現の理論、人間と社会の科学、そして情報の科学と工学にわたる幅広い科目で構成されます。領域化された個々の学問をネットワークとして結び付け、それぞれの科目を具体的なプロジェクト活動に統合することで、さまざまな知識を作品制作の問題として学ぶことができます。

「思考の組立」は、考えること、話すこと、構成することをテーマにします。それは、多様なメディアのリテラシーを学ぶ「情報構成」、思考の道具としての言葉を学ぶ「日本語と英語の表現」にはじまり、人工の言語を学ぶ「プログラミング」、そしてデータの科学と抽象概念の操作を学ぶ「情報数学」から成っています。

ここでの学びでは、教科書知識の伝達と継承から始まるのではなく、常に、制作活動を文脈とした問題の気付きが起点となるように構成されています。最初に、ものごとを形づくる「統合としてのデザイン」活動を学びます。そのなかで発見する問題を主題にした「思考の組立」や「知のネットワーク」の学びをとおした知ることが連なっていくように、カリキュラムが順序づけられています。

統合された学び

三つのカテゴリーを統合するカリキュラム例として、1年次の「統合としてのデザイン/基礎造形演習」と「思考の組立/リスニング英語」がどのように結び付いているかを見てみましょう。

「基礎造形演習」では、情報の表現を学ぶために、色彩、平面、立体に加えて、音、動き、物語などの動的素材が取り上げられます。たとえば、映画づくりを課題とする「動画プロジェクト」はグループワークで行われ、自分達の体験を表現するための画面展開と音の構成そしてストーリー制作などが造形の基礎として学ばれます。

「リスニング英語」は、この「動画プロジェクト」の一部として開講されます。ニュースや映画など、さまざまな日常的資源を教材とし、そこにある語りや歌を、作品と一体化した素材として学びます。そして自分達の制作の英語表現にそれらを応用することを試みます。

2・3年次では先に学んだことを基盤に、デザインの基本プロセスである、コンセプト立て、試作そしてプロトタイプ作りをよりいっそう実践的に学びます。卒業時には理論構造と、解決の糸口になるアルゴリズムを組み立て考案する技術と知識を構築できるようになり、最終成果物は社会の要求に適した真のデザインとなることでしょう。

また、4年間のカリキュラムはそれぞれ学年ごとに目標を掲げています。

世界を読む力
形を表現する力
知識と制作を統合し創造する力
社会へ提案する力


この流れの中で、学生達が個から社会に向けた表現・デザイン・設計を学ぶことができるように組み立てられます。

卒業後は、習得した知識と制作の技術を活かし、豊かな情報社会を構築するための専門家としての活躍が期待されます。具体的には、ソフトウエア産業、通信産業、コンサルタント業、マスコミ、博物館、そして行政機関など幅広い分野への進出が予想されます。

また、進学希望者に対して本学大学院美術研究科では、更に実践的で高度に総合化した研究能力を育成するプログラムを提供し、海外からの研究者も広く受け入れます。

美術学部二部デザイン学科
美術学部情報デザイン学科
須永 剛司


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