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電脳空間の窓から、
現実のドアへ吹き抜ける風
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インターネットのWebは窓からの出入りだ。ディスプレイの上に開かれたブラウザのウインドウから、見知らぬ人のホームページへ、つまり窓から他人の家に入り込み、家捜しして、また別の人の家の窓から入り込むということを繰り返す。 入られる方も、他人が窓から入ってくることを歓迎している。電脳空間に、みんなが窓を開いて、他人が入ってくるのを待っているという社会が出来つつあるわけだ。窓を開けて、そこから知らない人を招き入れる、というようなことは、現実的には考えられないことだが、電脳の社会ではそれが当たり前のことになる。考え方を変えることが迫られるという気がする。

ディスプレイの上に開かれたブラウザのウインドウから、見知らぬ人のホームページへ、つまり窓から他人の家に入り込み、家捜しして、また別の人の家の窓から入り込むということを繰り返す。 入られる方も、他人が窓から入ってくることを歓迎している。電脳空間に、みんなが窓を開いて、他人が入ってくるのを待っているという社会が出来つつあるわけだ。窓を開けて、そこから知らない人を招き入れる、というようなことは、現実的には考えられないことだが、電脳の社会ではそれが当たり前のことになる。考え方を変えることが迫られるという気がする。

電子メールは、身体を動かさないで、指先をキーボードの上に走らせるだけで、手紙を出せる。 それも、あっという間に届く。初めて送った時は、どきどきして、その速さにびっくりした。その速さ故に、返事も迫られる。沢山来ると、返事を書くのに時間を取られて、困ることもある。 ホームページという電脳の部屋の方は、というと、こちらも部屋の中身と飾り付けに変化を持たせないと、二度三度とやって来る人はがっかりする。

がっかりした人はもう来なくなる。そこで、多くの訪問者を期待するなら、適当に変化を付けなければならない。変化は、その部屋に何かを新しく持ち込むということだ。何処から持ってくるかというと、それは現実の自分の部屋にあるものを持ってくるということになる。現実に、自分の作品や体験など、持ち物が豊富であれば、それを電脳の部屋に持ち込めばいい。しかし、それも尽きてしまえば、作品を現実に創りに、また体験を求めて、現実のドアを開けて外に出ていくことになる。

窓を開いた電脳の部屋を豊かにするには、現実のドアを開けて外に出て、創造し、活動することが必要ということになる。つまり、インターネットに電脳の窓を開くと、そこから吹き込む風が現実のドアを開けさせるわけだ。そこで、生活習慣が変わってしまう。

電脳空間と現実の空間とは、実は全く異質なのだ。その異質の本質は、現実の空間にある身体というものが電脳空間にはないといことだ。つまり、現実で感じる時間も広がりも、電脳空間にはないということ。コンピュータをインターネットに接続して、「自分の電脳空間」を持ってしまった者は、この異質な二つの空間を抱えて行かなければならなくなる。そこに、どんな関係をつくり、どうようにバランスをとっていくのかという事が、これからの課題であろう。

美術学部二部芸術学科
鈴木 志郎康


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