自然が生み出した素材から、世界にひとつのかたちをつくる
彫刻をひとことでいうなら、「立体の芸術」と呼べるでしょう。確かな感触をもった芸術は、太古の昔から人間の手で営々とつくり出され、美しい存在として長い時を経ても私たちの心を揺さぶります。土、石、木、鉄をはじめとして、彫刻の素材は、その多くが自然界で長い時間をかけて形成されるものです。その自然そのものともいえる素材にじっくりと向きあい、その性質を知り、自分の手で世界にひとつしかないかたちに結晶させていくためには、つくり手にも確かな技術と果敢なチャレンジ精神が必要です。
本学科は、学生一人ひとりが制作に打ち込める、日本でもトップクラスの設備やスペースを誇っています。恵まれた環境のもと、時間をかけて表現を学んでいく充実した4年間を送るために、基礎課程の2年間で表現の基礎となる「ものの見方」を養い、すべての素材を扱い、作品制作の楽しさを知り、「表現する技術」を修得します。そのなかで自身に適した素材を選び、専門課程の2年間では、「個性的な発想」を養いながら、素材に触れることによって育まれてきた感性と思考をもって、自分の内なる表現をかたちにする制作に向かい、「自己表現の確立」を目指します。精神は作品を通して外の世界に広がり、連綿と続く彫刻の歴史に、その作品も連なることになるのです。作品は時を経ても、その時代の空気を生き生きと伝えます。この多様化した時代にこそ、鋭い感性で自己を見据え、世界の空気を吸い、「現在」でしかつくれない作品を生み出すことが大切です。その過程で感じ、身につけ、体験することは、なににも代え難い貴重な人生の財産となるでしょう。
教育課程
1・2年次では、自然素材に触れながら、素材の扱い方などの基礎を徹底的に学ぶとともに、創作の原点となる「自己のイメージの発展」や「ものの見方」を養い、それを基本として3年次から自己表現の創造へと進みます。学生と教員との人間的交流を基盤に、お互いの思考や制作を通して「彫刻とはなにか」を考え、実践していきます。学外の作家・批評家によるゼミを多数開講しているほか、材料・技法研究ゼミや奈良、京都をめぐる古美術研修旅行も行われます。
1年次
彫刻の基本素材である石・木・鉄・粘土などの素材を用いて、具象・抽象表現や立体構成を試みながら、彫刻の基礎的な構築や量塊などへの理解を深めます。また彫刻の歴史や可能性についても探ります。
2年次
人体および形態に内在する自然律と構造の追究(人体塑像)や、実在(大理石)への基礎的技法の修得。また、異素材の組み合わせの試みや鋳造・テラコッタ実習などを行い、自らの手を使って「思考」する大切さを学びます。
3・4年次
木・石・金属・土・FRPなど様々な素材を自由に選択しながら制作し、創造力を高めます。自主的な制作が主となり、4年次後期の卒業制作へ向けて、自身の表現を結実させていきます
授業科目 ※2011年度参考
1・2年次
彫刻基礎実技(塑造実習、木彫実習、石彫実習、金属実習、鋳造・テラコッタ実習、異素材実習、コンピュータ・写真実習)/ 彫刻論/ガス溶接技能講習
3・4年次
彫刻実技(塑造、木、石、金属、FRP、ミクストメディアなど自由選択)/課外研究ゼミ/古美術研究/ 彫刻論/卒業制作
関連情報
