家村ゼミ展2019
日高理恵子 村瀬恭子 吉澤美香
「ドローイングから。」

会期:10月14日(月) 〜 10月28日(月)
開場時間:10:00 〜 18:00
会場:多摩美術大学八王子キャンパス
   アートテークギャラリー101、102、103、104、105
休館日:10月20日(日) 10月22日(火) 10月27日(日)

多摩美術大学美術学部芸術学科「家村ゼミ展」は、2017年に始まり、第一回は「髙柳恵里×髙山陽介×千葉正也」、第二回は泉太郎の個展を開催いたしました。いずれの展覧会も、展覧会の完成形をあらかじめ定めず、作家・学生・教員、さらにはその周辺をも巻きこみ、考える過程そのものを運動体として提示する行ないを指して展覧会と捉え、展覧会の再考を教育の現場で試みてきました。

三年目となる今年は、「日高理恵子 村瀬恭子 吉澤美香 ―ドローイングから。」を開催いたします。 絵画作品の基となるドローイングには、作家の思考、身体性や感覚が無垢なままに(溢れんばかりに)詰まっています。本展は絵画の一歩手前に遡り、ドローイングから、絵画の生成を再考しようとするものです。 出発点として、まず「ドローイング研究会」を立ち上げました。メンバーは、作家の日高理恵子、村瀬恭子、吉澤美香、キュレイターの蔵屋美香、家村珠代、そしてゼミ生たち。メンバーの作家が、芸術学科研究室にドローイングを持ち込み、展示し、その一点一点について丁寧に討論を重ねました。展覧会では、さらにその延長として、選定したドローイング作品とペインティング作品とで構成していきます。

三作家それぞれ、ドローイングの捉え方も形態も大きく異なります。 空と顔が平行になるくらいに首を曲げながら木を見上げ、180度下を向き直し筆圧の強い線で「空との距離」を平面に刻み出現させようと試みる日高からは、「見切ることができない」「見切れない」という言葉が研究会で頻繁に使用されました。
村瀬は、ドローイングとは、目の前の画面をあたかも張り詰めた水面を揺らすようにして、そこに現れてはすぐ消えてしまうような微かなことを、立ち上らせ留める一番の幸福な場である、と語りました。
透明感があり、カラフルで浮遊感のある作風が印象的な吉澤からは、意味性やストーリーを限定しない、むしろ解放することから発想がなされ、さらにドローイングとペインティングの区別はないことが明かされました。

一点一点ドローイングを熟読する研究会から始まり、これをどのように展覧会という形に反映できるのか、できないのか。今年も、展覧会オープンまで、試行錯誤は続きます。





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