キュレーター・東京都現代美術館事業企画課長 美術学部教授
芸術人類学研究所研究所員
キュレーション(展覧会を企画実施すること)や評論は、アート作品を解釈し、これを「現在」や「歴史」の座標の中に位置づけていくことです。また、観客に対してこれを視覚的、言語的な「自分の言葉」で伝えていく、コミュニケーションの媒介となる行為でもあります。
アートはただそこに在るだけでは「アート」として生きられたことにはなりません。出会いがあり、誤解もふくめてさまざまな解釈があり、感情や感性のざわめきの中で「アート」として存在することになるのです。私は芸大の学生のとき、ヨーゼフ・ボイスの講演の企画にかかわりました。学生たちとの討論を通して黒板に描かれていったドローイングがそのまま作品として誕生した瞬間はとても感動的でした。
同時代を生きているアーテイストたちと仕事をすることのすばらしさは、絶えず自分の中の未知なる部分を発見させられることにあります。視覚言語(ヴィジュアルプレゼンテーション)を通しての作家や他者とのコミュニケーションには、言葉や音楽にはない曖昧で奥深いやりとりの魅力があります。むろん都市の中にあふれる建築やファッション、デザイン、映像、あらゆる要素がリサーチの対象になります。
私のカリキュラムをとおして、すてきな「もう一つの/ヴィジュアル系」の人たちがたくさん育ってほしいと思っています。
素顔のワタシ 好きなもの。飛行機、海、サーファー、自由を愛する人、他の人の自由も尊重する人、いつも楽しそうに軽やかに考え続けている人を近くで見ていること、フレキシブルな空間、アーテイストと話をすること、その話から生まれたプロジェクトをすること。
略歴
兵庫県生まれ。
1979年京都大学卒業後、東京芸術大学大学院修了。
批評を基幹に据える国際派キュレイターとして、水戸芸術館現代芸術ギャラリー、ニューヨーク・ホイットニー美術館研修、世田谷美術館、金沢21世紀美術館で活動、最近のマシュー・バーニー展に至るまで多くの斬新な現代美術の展覧会を手掛ける。現在、東京都現代美術館事業企画課長。
2001年、イスタンブール・ビエンナーレ、2002年、上海ビエンナーレ、2003年、ヴェニス・ビエンナーレ日本館コミッショナー、2006年、トライアル・バルーンズ展レオン現代美術館(スペイン)共同企画。
共著に『ヤン・ファーブル』、『ソフト・アーバニズム』、共訳書にアーナソン『現代美術の歴史』など。
|