美術―あいまいなパラダイム

TAMA VIVANT II 2016

はじめに​

 「TAMAVIVANT II」展は、多摩美術大学美術学部芸術学科の学生が中心となって企画・構成・運営する現代の美術・芸術のアニュアル展です。 海老塚耕一ゼミのカリキュラムの一環である本展覧会は、本年度、家村珠代ゼミとの合同企画として運営する運びとなりました。
 展覧会を実際に運営していくことで、通常の講義では得難い主体的で実践的な思考力・企画力・制作力・伝達力を身につけることを活動の目的としています。現代の幅広い美術・芸術の中から「作家」ではなく、「作品」を選択し展覧会を構築 することを趣旨とし、それぞれの年度の特色を持った問題意識を基礎として、企画内容を変化させて開催しております。
 また、展覧会を通して、より多くの人々に現代の美術・ 芸術の在り方を積極的にお伝えすることも目的としています。本展の前身となる「TAMA VIVANT」展は、プランナーやプロデューサー、あるいは研究者など、これからの美術・芸術、広義における文化の案内人たる人材を育てたいという故・東野芳明名誉教授の熱い想いからスタートしました。
 後にその意志を受け継いだ海老塚耕一とともに、1984 年の「戯れなる表面」展を始 まりに、23 回目となる「今、リズムが重なる」展まで、本学だけではなく、八王子西武、渋谷シードホール、SOKO ギャラリー新木場、京都・彌右衛門画廊、地下鉄大江戸線都庁前駅、横浜・みなとみらい線みなとみらい駅地下 3 階コンコースなど、多種多様な場で開催して参りました。
 24 回目を迎えた 2007 年度より「TAMA VIVANT」展は、「TAMA VIVANT II」として新たに出発しました。「TAMA VIVANT II」展では、展覧会を構想することを通して、 現代の美術・芸術・文化を読み解き、議論を重ねるなかで、現代に潜む問題点を浮き彫りにし、それらをもとに企画・運営といった実践を行っております。そして 33 回目となる本展覧会は、インディペンデントキュレーターとしても活躍する家村珠代が指導するゼミとの合同企画となり、更なる多様なまなざしをもって、様々な思考の交わりの中で、より同時代性を反映させた美術展を実現していくことを目指しています。
TAMA VIVANT II 2016 企画室一同

​「あそびじゅつ」について

 「あそびじゅつ」講座は、1999 年にセゾンアートプログラムの教育普及プログラム 「あそびじゅつ」への協力をきっかけに始まりました。
美術を鑑賞する楽しさを子ども達に伝えることを目的として、2001 年からは本学生涯学習センターでの講座を中心に多くの試みを展開しています。当企画室においても本展監督を務める海老塚耕一を軸として、子ども達が創作や鑑賞を通して様々な発見を得る機会となるよう模索しています。
 今年度の講座は、「絵の中にものを入れる。わたや紙が入ったらどんなかたち?」です。本講座では絵は紙に描くものだという先入観を払拭し、あらゆる素材が絵を描く支持体になりえる可能性を体感して欲しいと考えています。また、講座では布に絵を描くだけではなく、布の柔軟性を活かした立体物を作ります。その過程では、素材と素材の組み合わせを考えることが必要となります。何を入れたらふわふわになるのか、硬いものを入れたらどのような音が聞こえるのか。視覚・触覚・聴覚を活用し、素材に直接触れて感触を楽しみながら作品を作ります。
 既製品を作品に貼ったり、筆を持たずに描画を試みたり、そうした現代の美術・芸術 の多様性を考えるとき、素材に関する意識や感性を磨くことはとても重要であるといえます。身の回りにあふれる素材が持つ魅力を再発見すると同時に、子ども達にとってその経験が、美術を鑑賞する際の手がかりとなるような講座を目指します。

​「絵の中にものを入れる。 わたや紙が入ったらどんなかたち?」

自分より大きな布に、みんなで自由に描いてみよう。
どんな絵ができるかな。
描いたところを切って、貼り合わせて、中に何かを入れたなら?
ふれてみたらどんな感じかな。どんな音が聞こえてくるだろう。
考えながら試したら、中にいれたものの組み合わせは、 きっときみだけの新しいもの。
さぁ、動き出したきみの絵と、みんなの絵で作る世界を旅しよう。

 
  

パルテノン多摩講座
日時:2016年11月13日(日) 10:00〜15:00
場所:多摩市立複合文化施設 パルテノン多摩
市民ギャラリー
対象:小学1〜6年生
定員:30名
受講料:1500円
講師:海老塚 耕一
   (美術家、本学芸術学科教授)
主催:多摩美術大学美術学部
   芸術学科TAMA VIVANT II 2016企画室
共催:公益財団法人多摩市文化振興財団
協賛:八王子織物工業組合
   松田油絵具株式会社
協力:多摩美術大学生涯学習センター
お問い合わせ:TAMA VIVANT II 2016企画室        tamavivant2016@gmail.com

 
 
  

お申し込み方法(事前申し込み制)
お申し込み方法は、1、2のいずれかをお選びください。
1,パルテノン多摩ホームページ内申し込みフォーム
 http://www.parthenon.or.jp/
2,多摩美術大学美術学部芸術学科
 FAX 042-679-5649
FAXでお申し込みの場合、下記の項目を記載の上、お送りください。
お名前・ふりがな・郵便番号・ご住所・電話番号・E-mailアドレス・年齢・緊急連絡先
1、2共に10月1日(土)10:00より申し込み開始
定員に達し次第応募を締め切らせていただきます。
申し込みは終了しました