ハイパーニットクリエイター 力石咲。

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世界の国々を訪れてみたいという好奇心は、誰にでもあるものだ。作家は訪れた場所や人を包むということで世界と繋がりたいという願いを叶えてきた。ではなぜ毛糸と編み物をその道具としているのか。これにはいくつか理由がある。

●毛糸と編み針だけ持っていれば世界中どこでも編むことができるから。

●一本の糸が編むことで面となったり、その伸縮性上、いくらでも変幻自在に取り扱える素材だから。

●温かい、柔らかい、編む、包む、結ぶ、という毛糸や編み物の特性は世界を愛している作家にとってこの上ない素材だから。

さて、そんな幼いころからの夢から生まれたのが作家の旅のパートナー、ManGlobe。毛糸の地球儀型ロボットだ。大陸に五つの目を持つこのロボットは、あなたが目の前に来ると瞬きをする生き物。そう、まるで生き物なのだ。柔らかいものが動くという感覚はとても新鮮だろう。ロボットと言えば堅硬な鉱物の身体を持ち、がちゃがちゃ動くというイメージ。しかし作家の地球への愛から誕生したこのロボットは見た目も触り心地も温かい。瞬きの動作も妙にリアルだ。これにはもちろん、毛糸の温かみ、伸縮性、柔軟性といった素材上の特性が、まったく別次元のエレクトロニックな世界と合体した愛の結晶なのである。

そして作家はManglobeとお揃いのワンピースを着て旅に出た。現地を編み続けながら自らもその土地に染まって編み包められる。その姿で現地に滞在する。編み物=服やファッションアイテムという実直なイメージは作家にもあり、衝動を掻立てられる。
こうして自らも様々な姿に変身しながらManGlobeと旅を続ける。大なり小なりなんでも編み包むこのプロジェクトの中には、訪れた土地にManGlobeを憑意させるという計画もある。例えば建造物の屋根を、彼のような瞬きする目を持った編み物で包むという計画。毛糸の質、耐久性、危険性、様々な問題が立ちはだかるが今現在研究中である。

出会った人を編む
作品タイトル:My friend, Mary and My art teacher in GC, Steffen

自らも変身する※動物園でコアラを抱っこしたことからインスピレーションをもらい変身しました
作品タイトル:Koala Suit
使用素材:毛糸、GlobeShell(私の作品です・・)、ダイオード、オーストラリアで飲んだビールの栓、オーストラリアで拾った風船
     宿泊先のパンフレット