企画書 2009-5-1案

Hyper Art Catalog

多摩美術大学情報芸術コース10周年記念出版
発行:多摩美術大学情報芸術研究会

jama@tamabi
Japanes association for Media Artists
事務局:k-inoue@tamabi.ac.jp

 

TABLE OF CONTENTS

発刊について 
はじめに 高橋士郎
第一章 作品編  →作者一覧
  1)気相(空気,音)
作品
2)液相(水、油)
作品
3)固相 (土、金属)作品
  4)波動(光、視覚)
作品
  5)電場(電気、磁石)
作品
  6)重力(慣性、寸法) 作品
    あの世(想念、記憶、譬喩、設計)  
    この世(素材、構造、対称、生命)  
第二章 資料編  →執筆一覧
  1)思想概念 論文
  2)表現技法 論文
  3)社会関連 論文
第三章 理論編
  1)過去:19世紀の自由科学   メディア藝術史年表 高橋士郎
  2)現在:現代のメディアアート 文献一覧双方向美術 三上晴子
  3)未来:バイオアートの試み  入出力システム 久保田晃弘
  4)テック展          展示会記録 森脇裕之

 

EDITER'S NOTE

印刷媒体の発行にあたって

1)本書のオリジナルデータはインターネットで広く公開している。現代のデジタル情報技術は、相互方向性、媒体互換性、即時性、世界規模、動画配信ネットなどを可能とし、豊かで大量の情報を簡単に無償で伝達できる。さらに、ハイパーテキストのリンクは、リニヤな記述には出来ない、自由な連想を喚起し、より自然な思考方法に近づいているように思える。
http://www.tamabi.ac.jp/idd/hac.html

しかしながら、それらのデジタル媒体は、著作権の担保に関しては全く無力であるので、このアナログの印刷媒体を発行する。 各項目にキーワードを記載したので、下記の検索サイトに入力すれば、全世界ウエブでの最新コンテンツにアクセスできる。
google youtube yahoo

2)「作品編」には、多摩美術大学「情報デザイン学科」の創作作品の事例を掲載した。同学科の情報芸術コースでは、学外での展示会を毎年企画実施し、その教育研究の成果物を発表してきた。その合計25回に渡る展示会記録を記載する。

「資料編」には、 大学院生および卒業生などによる創作研究を掲載する。

「研究編」には、情報芸術コースの非映像系ラボである、AラボとBラボの専任教員執筆によるオリジナル論文を掲載する。

3)本書の発行は、多摩美術大学の共同研究による。情報デザイン学科、情報芸術コースの10年間に渡る研究成果を編集出版し、世に問うことによって、情報芸術領域における創作研究の歴史的意義を明らかにする。

 

INTRODUCTION

現代の先端的な情報技術によるバーチャル・コミュニケーションの時代において、豊かで健全なコミュニケーションが成立するためには、受け手と送り手のリアルな現実体験による共通感覚が不可欠である。本書は、感覚的な体感に連鎖して始まる、人間的な思索を喚起し、豊かなコミュニケーションをどのように実践すべきかを探る。

現代の情報化社会において、芸術の表現技法はとどめなく拡大し、通常の人間感覚では理解しえない高度な情報技術が遍在し、ブラックボックス化している。 秋葉原の無差別殺人事件などの不可解でオカルト的な犯罪が問題視されるのも、仮想と現実の間に大きな断絶を感じるからであろう。 本書は、そのような現代の高度な表現媒体と、野生の人間感覚のギャップに注目し、「情報芸術」を正しく豊なものに発展させようとするものである。

人間的な思索は、 色や形、光や反射という感覚的な体験に連鎖して始まる。生活を豊かに彩る、触覚的・視覚的・身体運動的な経験からくる、驚きと喜びは、生きる興味に転換し、子供達にとって、わくわくする心のうごめきは、人間や物にたいする確かな愛着の始まりとなる。

野生の人々は聖域を形成して、シャーマンが司る豊かな想念世界を共有してきたが、宗教権威に取って代わった宮廷権威は芸術家を保護し、個人が所有し、見せびらかす事のできる芸術価値を発明した。

しかしながら、近代の機械的世界観による金融支配下の芸術においては、まず最初に、この世に建築される芸術の殿堂(美術館)によって、その芸術価値が担保されることとなり、次に、現代のデジタルサイバーネットが実現した情報の偏在化技術は、肥大化した大脳皮質の化学シナプスと電気シナプスを外界に漏洩し、あの世とこの世の結界を曖昧にする。

多摩美術大学情報芸術コースは、このような現代社会における創作表現を探求し、その芸術価値を自らが創出する。


星占師ノエルの鶏モプサス

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