資料3-10

多摩美術大学における省エネ照明システム

多摩美術大学 渡辺清光 鹿島建設株式会社 高橋 敏美 中田圭介。

美術大学におけるデザイン研究および演習を目的とする建築物で、棟内にはデザイン 研究室・デザイン実習室・ コンピュータールーム・プレゼンテーションルーム等を備えています。照明設備は、使用者(主に学生)への視環境の配慮、 省エネルギーの推進をコンセプトとし、各教室には、Hf32W高出力形(45W点灯)蛍光灯2灯用露出形器具を採用して、机上面照度(初期)約1,000lxを確保すると共に、自然エネルギー(昼光)の積極的利用を図り、省エネ化を推進しています。

設備導入の背景による目的と計画
1)地球環境保護:自然エネルギー(昼光)の積極的利用による省エネ推進
2)快適な視環境:使用者(学生)への視環境に影響のない照明環境の配慮
3)コスト低減:設備のランニングコストの削減
4)設備計画:高効率照明器具の採用。Hf(高周波点灯専用)インバータ照明器具。省エネ照明システムの導入。あかりセンサ制御システム(明るさ検知システム)

施設及び照明設備の概要
1)建物概要: 多摩美術大学八王子キャンパス デザイン棟。地上5階。延床面積12,248.085u
2)導入照明システムの概要:〈システム名〉明かりセンサ制御システム(東芝ライテック(株)製SESLシステム)。〈構成〉センサと照明器具から構成されるシンプルな構成である。。動作〉あかりセンサにより周囲の明るさを検知し、照明器具へ信号を送る。照明器具は、その信号に応じた照明器具の明るさによりある一定の明るさに維持できる。
3)照明設備施設概要
計測は4階の北側および南側教室の代表的な部屋で行った。各教室の照明設備概要。照明器具(窓側1列目)あかりセンサ付兆候用Hf高出力形2灯用器具1台、調光用Hf出力形2灯用器具2台(2〜4列目)、非調光用Hf高出力形2灯用器具9台

照明データの実測値と算出結果:
1)実測値…各教室(北側、南側教室)の机上面照度と照明器具の調光点灯操作各教室(北側、南側教室)の窓側1列目の机上面照度(床上85cm)とその時の器具調光動作について調査分析した。
〔実測日時:平成10年3月11日、晴れのち曇り〕
〈実測値より〉
@昼光利用できる時間帯において、北側,南側教室共1列目の照明器具は、連続的に25%
調光で運用できることが判り、常に設計照度である約1,000lx以上(初期値)は確保されていた。
A昼光利用できなくなる時間(夕方)でも一定照度制御がおこなわれており,教室利用者に対して心理的な影響は、ほとんどないと考える。
2)実測値からの算出結果:各教室の一年間における一教室あたりの電力比較とCO2排出量について以下に示す。〔算出条件〕一日点灯動作を一年(四季)に換算して算出。〔算出条件〕CO2排出量(sC)=CO2排出係数:0.098×使用電力量(kWh)〈算出結果より〉@FLR40×3灯用ラピットスタート形器具に比べ、年間電力量で約33%省エネでき、一教室当たり122(sC)のCO2が削減可能となる。A北側教室と南側教室では年間電力量の算出結果に大きな差はなくほぼ同結果となった。

考察:
制御別電力量と設備償却比較今回の測定データに基づき、照明制御ゾーンを窓側2列目まで及び全列制御した場合も含めて各制御別使用電力量と設備比較を行った。
まとめ:
本結果により、今回の省エネ照明システムの導入は、当初の目的(省エネ化、快適な視環境、コスト削減)を達成できたといえる。
また、更に省エネ化を進めるための課題として、制御範囲を拡大することによる検討も、必要と考える。

多摩美術大学における雨水利用について

省エネを目的とした大学における中水処理設備の利用例(中間報告)

2)設備導入の背景による目的と計画。雨水の積極的利用による省エネ推進。利用建物 デザイン棟。階数:地上5階:12,248.085u

雨水処理施設概要
データの実測値と算出結果 調査日:1999年10月21日
[考察] 処理能力の設計値との比較。設計条件:雨水槽容量400m3。中水製造量 88m3/日。設計値を満足しているかどうか検討する。
デザイン棟は、絵画棟と違い、ろ過ポンプ槽を持たず、直接雨水槽から逆洗槽にろ過ポンプで雨水を移送しているため、ろ過時間が中水製造量となる。中水製造時間は24時間から逆洗時間を引いて23時間36分となる。ろ過水量は、4m3/時=0.067m3/分であるから23時間36分/日×0.067m3/分=94.87m3/日となり、設計値88m3/日を満足している。雨水槽容量は、設計値400m3に対して実測値417.1m3となり設計値を満足している。
降水量,中水製造量,上水補給量の比較表及びグラフを別添資料に記載する。比較表の中水製造量の値で8月及び3月は、絵画棟と同じく休校によるものと考えられる。絵画棟に比べ中水製造量が多い事が解る。
これは、製造能力の設計値88m3/日で、絵画棟の3倍近くあるためで、絵画棟と同じく中水製造量は、中水使用量に影響されていると考えられる。デザイン棟は、11月からの降雨量の減少で2月に上水の補給を行っているが、11月、12月,1月、5月、で集水量に対して中水製造量が多くなっている。これは、雨水槽の容量が有効に作用していると考えられる。
[考察]
前期検討結果から中水処理設備はほぼ設計値を満足しており、上水の補給は、ほとんど行われておらず、有効に働いていると考えられる。