東京駅

ありがたいものは小さくなってもありがたい。神社建築のミニチュアである祠の例を見るまでもなく、日本には建築を縮小する表現がある。東京駅の構内にあるポストは東京駅のモチーフだし、門司港駅構内の公衆電話には門司港駅の屋根と同じ形態が載る。それが景観にあっているかどうかで決められてはいないし、美しいかどうかの判断でもない。 ありがたいものは小さくなってもありがたい。デフォルメされてもありがたい。ありがたいモノのそばに縮小されたありがたいモノを並べる。無意識の欲求がこの形態を生んでいる。デザイン上問題であるとか、景観上好ましくないと言う前に、日本の文化として、こういう表現作法が受け継がれていることに気づく必要がある。

門司港駅