010 ゴルフ練習場

東京都調布市

 日本特有の景観を構成する巨大構造物のひとつにゴルフ練習場がある。 これは海外でなかなか見かけない。しかしランドスケープに大きな影響を与えるような巨大なものが住宅地の近くにありながら、反対運動や景観論争をあまり聞かないのが不思議だ。ネット状で透けているので気にならないのだろうか? 日を遮らないからOKなのだろうか?改めてこの構造物に着目すると都市が拡大する様子が見えてくる。あくまで練習場なのでホンモノのゴルフ場があるような場所では不便で成立しないし、あまりに都市部では地価が高い。住宅地もあるが農地もまだあるような、都市と農村の境界ゾーンが見えてくる。 しかしそのような土地では高層建築物が無いので遠くからもよく見えるものになる。 この構造物が現れたときが都市化の波の第一波であり、これが閉鎖されてマンションに変わったときが都市の仲間入りとも言えそうだ。実際宅地化が進むとスーパーやマンションに変わるという例がみられる。ということはこれは宅地化前に登場し、住宅は後から周囲を埋めていくという順番で構成されることが多いために反対運動が起きにくいのだろうか?ゴルフ練習場の盛衰と住宅地の関係から日本固有の都市の歴史が見えてくる。

 鉄とネットでは寿命は短いので遺跡として残ることは無いだろうが、何千年か後の人に「これはいったい何に使われていたでしょうか?」というクイズができそうな不思議な構造物ではある。

 神奈川県川崎市麻生区

 

栃木県南河内町