018 現代の注連縄

   

  兵庫県室津の加茂神社の注連縄(しめなわ) である。注連縄はかなりの難読漢字だ。注連縄は神が宿る依り代(よりしろ)としても使われるが、神社では現世と神域を隔てる結界の意味を持つ。この注連縄、なんだか光ってるなと思ってよく見ると、何とビニールひもでできている。 本来、注連縄の材料は藁だけでなく麻も使われることがあるようだが、ほとんど稲藁といってよいだろう。ここに藁が使われるのは稲作文化と深い関係があるとも言うが、藁はもともとさまざまな日用品に加工されてきた。 日常生活の中でありふれた材料を神聖な神社の重要な場所である結界に使うということに何か意味があるのかも知れない。そう思って見ると 日常生活の中でありふれたビニールひもをここに使うという発想は、ある意味で素材との付き合い方や精神を継承していると言えるのではないだろうか。この造形で材料をビニールに変えることは簡単でも、藁を使って別の造形でこの機能を持たせることのほうが難しいだろう。

 

いや、これはちょっと考えすぎで「腐らないからいいね」という程度の話かもしれない。

また、偶然この神社で見つけただけであって、全国的にどのくらい普及しているかもわからない。実はもうあたりまえのことなのかも知れない。