現代日本の景観

 見えている景観、見えていない景観

 在るものを見るのではなく、見るものが在る

●在るものを見るのではない 見るものが在る

  環境デザインという視点から見た環境というのは、すべての人の前に等しく存在するものではない。意識していない人にとっては存在しないに等しい。日常的な風景はこの意識されない環境がほとんどを占めている。これらに目を向けると今までとは全く違う世界が見えてくる。

●美しい景観とは

  美しい町並み、美しい環境、言葉で書くと意識は共有できそうだが、いったい何が美しく、何が醜いのだろうか。美しくしようとすればするほど醜くなっていることは無いだろうか。美しいと思える景観は美しくしようとしてできたものではないことが多い。

●日本の景観とは

  日本的な景観とは何だろうか。意識されない、無視されている、あるいは醜いとされている景観の中に日本的な景観があるのではないだろうか。景観が生まれるときにはその土地固有の「くせ」がある。 醜いとされているものの中に豊かな地域性や時代性が隠されていないだろうか。

●生まれるべくして生まれる景観

  景観が生まれるときにはすべて理由がある。否定する前になぜそこに存在するのかを考えなくてはならない。醜いものを消そうとする、かくそうとする行為のほうが不自然なことはないだろうか。

●もう一度見る

 よく知っていそうで、よくわからないことだらけである。初めての国を旅行するときのような純粋な目で日本の景観を見ると、これからの環境デザインに必要な何かが見えてくるのではないだろうか。