世界の民家園

 野外博物館巡礼 

 民家園のデザインを通して、伝統的な文化への姿勢が見えてくる

2015年8月現在 36カ国104ヶ所  

●民家園巡礼

 ほとんど巡礼と言ってもよいこの旅は、生きている民家が好きでそれを見て回わることから始まった。しかしどこに美しい民家が残っているかの情報は少なく、まずその土地の民家園へ行くことによって周辺の民家の概要がわかることに気づいた。初めは民家を見るための情報収集として訪れていた民家園が、数を重ねるうちに、それぞれの博物館としての姿勢の違い、民家園そのもののデザインがおもしろくなってきた。 有名な民家園もあるが、まだその国の中でさえ無名な民家園も多数存在することがわかってきて、さらに民家園巡礼に意欲がわいてきた。

●民家園の起源

 野外博物館、いわゆる民家園はスウェーデンのスカンセンで始まって以来、ヨーロッパ中に拡がってきた。それは単に民家を保存するだけはでなく、生活、文化、産業を記録し、保存し、見せるための施設として、各国で重要なミュージアムとして位置付けられている。

●民家園の分布

  移築保存の容易さから木造建築の文化圏に限られてしまい、ヨーロッパではほとんどがアルプス以北、それもスウェーデンと地理的に近いところに集中している。特に旧共産圏に大きな民家園が多いが、 これらは今までなかなか紹介されることが無かった。

●民家園のデザイン

 移築、復元、保存とは言っても、再構成するためにはあきらかにデザインが必要で、そこには伝統的な建築、景観を中心としながらも、ミュージアムとして楽しく過ごせるような、一見控えめでありながら高度なランドスケープデザインが要求されている。残されているのはオリジナルの民家、民具そのものでも、その演出やデザインの善し悪しが、いかにリアルに昔の生活を想像させるかに関わってくる。訪れる人は民家や農村風景を見に来るのであって、ランドスケープデザインを意識することは少ないだろうが、実際の村を歩いているような気分、タイムスリップしたような気分にさせるというのは 、まさにすぐれたランドスケープデザインの成果である。日本で民家園というと民家を「陳列」している印象があるが、ヨーロッパの多くの例に見られるような農地まで含めた保存復元は、今後の日本の民家園のあり方を考える上で学ぶべきものが多い。

●記録

 ここでは1985年から2015年までに廻った野外博物館を紹介する。とりあげた民家園は大きなものも小さなものも含まれているが、たまたま訪れたところを載せているだけで、重要度とは必ずしも一致しない。また名称は、現地語と英語表記で意味が異なっていたり、複数の名称を持っていたりするところが多く、ここに記したものが正式名称では無いかも知れない。整理の都合上ナンバリングしているが、番号にそれ以上の意味は無い。