003 池のある居間  トルコ      /サフランボルの邸宅

 

 

 トルコの中北部、サフランボルにある古い邸宅を改装したホテルに宿泊した。この家、入口を入ると巨大なサロンがあり、その中央に屋内池がある。 ちょっとした 屋内プールといってもよい大きさの四角い池なのだが、泳ぐわけではない。魚を飼っているわけでもない。ただ水面を楽しむための池である。これは邸宅をホテルに改修したときの・・ つまり現代のデザインによる演出かと思った。しかし、サフランボルの町で、この土地の邸宅について書かれた本を手に入れたら、このタイプの屋内池が何例か載っていた。つまりオスマントルコ時代の裕福な家の遊びの空間として、一般的というほど多くはなかったものの、好まれている空間であることがわかった。トルコ語は読めないので、それ以上はわからないのだが、天井や壁に映る光の反射を見ながら、のんびり水タバコでも ふかしながらくつろいでいたのだろう。生活空間の楽しみかたとして、いかにもイスラム的、オスマントルコ的である。

  サフランボルはオスマントルコ時代に栄えた商業都市であった。町の中心にはハマム(トルコ風呂)やケルバンサライ(隊商宿)が残っていて、盆地の中に多くの歴史的建築物がある。世界遺産にも指定されて観光化が進みつつあるが、小さな町に17〜18世紀の家、それもリッチな邸宅がごろごろしていて見ごたえがある。