JR西日本

奈良線

玉水

撮影:2008/03

築年:昭和29年

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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1954年の鉄道建築ニュースに、玉水駅駅舎の古レールによる新築の記事が図面と共に載っている。おそらくこれが最初の例と思われる。台風による水害で倒壊した駅舎の復旧で、木造の予算で鉄造にするという工夫が書かれている。これによると屋根材をアルミにして軽量化をはかり、柱はレール1本としている。壁体に使われているのは当時まだ安かった煉瓦、サッシはスティールとしている。9000/uでできたことを誇らしげに記述していることから、この時点で古レール造は簡易なものとして経済的に有効であるという認識が見られる。この玉水駅とよく似たタイプがいくつか現存している。古レール造駅舎はどれも、細い柱とシンプルな平面で、モダニズム建築としても美しい姿をしている。しかし現存する多くの例がレールを仕上げ材で覆っていて外から判別するのが難しい。駅舎にレールが用いられた期間は比較的短く、平面のパターンが似ていること、ホーム側に張り出す屋根と駅舎の構造体との繋がり方によって判別できる。レンガとレールのコントラストは美しく、この時期のローコスト建築特有のさわやかさがある。下の写真は便所部分で当初のレンガがタイルに交換され、窓の改造などデザインとしては改悪されてしまった。