上家鑑賞法 |
観察のポイント
1・標示から見た歴史
ホームはずれの柱に建物財産標が貼られていることがある。これを見れば建築年はすぐわかるが、ペンキで塗りこめられていたり、財産標そのものが存在しないことも多い。
下の写真は黒磯駅 大正15年3月 とある。意外な古さに驚くことも多い。
2・レールの留め方から見た歴史
●リベット留め
初期の方法。レール同士を直接留める方法と一枚プレートをはさんで留める方法がある。
●溶接
溶接技術の進歩にともなって、リベットより安くできるようになってから普及する。
溶接とリベットが混在する例もあるが、おそらく工場で一部を溶接して運び込み、現場でリベット留めしたものと思われる。
3・レールの曲げ方から見た歴史
●曲げ加工
初期はレールを自由に曲げている。ちゃんと構造計算していそうもないような、危ない曲げ方も見られる。
●直組み立て
レールは硬くするために炭素含有量が増え、簡単には曲がらなくなる。この時期、溶接が普及し、レールを直線材のまま使用して組み上げるようになる。
4・他の材料とのハイブリッド
●アングル
スチールのアングルは初期からいっしょに使われる材料で、上家のグレードが上がると、スパン(柱間)を長くするように設計され、桁方向にアングルを利用したトラスが組まれるようになる。
●チャンネル
C型チャンネルが普及しはじめると、屋根の母屋材として使われるようになる。
●木材
母屋にはよく使われるが、柱が木製で小屋組がレール造、あるいは柱がレール造で小屋組が木造、といったハイブリッドも見られる。これらは古いタイプというわけではなく、コストダウンのためと思われる。
5・レールそのものの歴史
レールには側面に製造刻印があり、製造年、輸入であるか国産であるか、あるいは製造所 はどこ か、発注元はどこか までわかり、19世紀製のレールも数多く現存している。レールとして数十年使われ、その使命を終えてからさらに上家として数十年行き続けていることに なる。この分野にはマニアがいて、かなり調査されているようだ。