はじめに

会場風景

私たちの共同研究も、今回で3回目になりました。

前回、大阪芸術大学の田島先生、京都市立芸術大学の秋山先生、そして東京藝術大学の島田先生に来ていただいて、それぞれの学校の成り立ちと実情をお話しいただいたら、思っていた以上に収穫の多い研究会になりました。お互いの学校のことはなんとなく知っているようで、実際に比較検証し、それぞれのことを考える機会がなかったことをあらためて知りました。

もうひとつ、これまで何となく当り前と思っていたことが、どれも当り前ではなかったということもありました。たとえば、大学での本格的な陶芸教育のはじまりなのですが、京都芸大が50年ほど前で、東京芸大が40年ほど前、多摩美術大学がそれより数年遅れて始まったわけで、どこも思ったほど昔のことではなかった。そんなふうに、少し大げさにいうと目から鱗的なことがたくさんありました。

そこで、今回も、それぞれの背景のもとに、独自の教育的取り組みをしている大学の先生方にお越しいただいて、陶芸教育の実情についてお話ししていただくことになりました。日本の大学におけるやきもの教育の姿を、前回とは違う角度から照らし、浮かび上がらせたいと思います。

井上

今回ご参加いただいた大学の学校名や学部名には、「工芸」、「工業」、「教育」という特徴のある名前がついていますので、前回とは別な面白さが際立ってくるのではないかと期待しています。もうひとつは、前回も含め、この研究会に参加いただいた先生方が、大学で教育を受けられ教員になっている。どの大学も陶芸教育の開設当初は、陶芸家、工芸家として活躍されていた方が、作家的、産地的な発想などから教育をはじめられたと思うんです。現在、大学で陶芸教育に携わる世代は、いずれにしろ大学での専門教育を受け、そこから育ってきた人というのがどうも大きなポイントになっていて、工芸教育を取り巻く状況もここ数十年の間で大きな変化があったのかもしれない、その辺りのお話しができると興味深いかと考えています。