交換留学体験談

交換留学体験談(1)

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一條 のはら
美術学部生産デザイン学科テキスタイル専攻
留学先: ヘルシンキ芸術デザイン大学
期 間: 2008年9月~2009年2月

授業について

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今回、ヘルシンキ芸術デザイン大学に8ヶ月間交換留学させていただき、9月から12月の秋期の授業では主に専攻のテキスタイルの勉強を、1月から帰国までの春期では他科の授業を履修し、新しい素材に挑戦することができました。8ヶ月という短い期間ではありましたが、実り多く、とても良い経験をさせていただいたと思います。

まず、秋期の授業では、テキスタイル科の織り、ニット、プリントの授業をとりました。ニットについては、多摩美術大学では織りや染めのようには学べないので、基本的な内容でしたが、非常に勉強になりました。基本的に授業が通年ではなく、数ヶ月の集中的なものが多いので、何種類もの技法で手一杯になることなく、しっかりと集中して学ぶことができました。織りについては、織り機は基本的に日本で使っていたものと同じでした。授業を受けて感じたことは、構造をすごく意識していることです。色や柄というよりも、構造でデザインする考えが強く、インテリアなどに直結した考え方で、アートよりはデザインや、生産性を重視した授業内容が多かったように思います。プリントについては、色使いやデザインそのものが、インターナショナルの生徒達と一緒にやることで、すごく刺激になりました。プレゼンテーションも非常になれている人が多く、堂々とした姿勢とユーモアで、非常に勉強になりました。

その他にも、ファインアートコースのライフドローイング(裸婦デッサン)の授業も履修しました。裸婦デッサンはとても面白く、テキスタイルとは直接関係はありませんが、デザインを考える上でのドローイングのアプローチの入り方などに多様性を持てるようになったと思います。また、デザイン科とアートコースは根本的に授業の進め方が異なり、アートコースは非常に自由度が高いのでとても楽しく制作できるし、可能性を試すことができるのでよい経験になりました。他科の授業は、他科の生徒とも関われるし、視野を広げるきっかけにもなるので、履修してよかったと思います。

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次に、春期の授業では、陶のワークショップと版画の授業、ジャカード織りの授業を履修しました。ジャカード織りは、日本にいるときに、デザインをして、後は業者にデザインを出して織ってもらうことは授業でやったことがあったのですが、実際に自分で機械で織ったことはなかったので、とても良い経験になりました。デザインの作り方や、組織の選び方と効果など、はじめてのことが多く、最初は難しかったけれど、ジャカード独特の混色などを楽しむことができました。

陶のワークショップは、以前から陶という素材に興味があったので履修しました。てびねりもろくろも体験し、器を何点か制作しました。土に慣れることができ、楽しめましたが、色が焼き上がりまでわからないので難しく、これからももっと学びたいと思います。

版画の授業では、ペーパーカットとウッドカットの二種類を学びました。春期の授業では、色々な新しい素材や技法に触れることができ、自分の制作の幅を広げることにつながっていればいいなと思っています。

8ヶ月を通し、授業のリズムがとてもゆったりとしていて、一つの課題にあてられる時間が日本で制作していた時よりも大分長かったので、考える時間をたくさん持つことができました。その反面、デザインの意識が強く、時間はたっぷりあるのに制作まで行かない授業が多々あったのには少し物足りなさも感じましたが、よい経験だったと思います。

自分個人の反省点としては、英語でのプレゼンテーションが難しかったことで、もっと英語力が必要だと感じました。良かった点は、いろいろな素材に触れられたことと、考える時間をたくさん取れたことで、自分の持ち味を確かめることができ、同時に違うものにチャレンジすること、少しとまったり、戻ったりすることができたことです。日本にいたら経験できなかったことを、たくさん経験させていただいたので、これからの自分の制作に生かして行こうと思います。

語学について

学内も市内も、フィンランドの人たちはほとんどが英語を話せるので、英語で不自由なく生活が送れます。大学院の授業は、基本的に英語で行われることになっていますが、学部は基本的にフィンランド語で授業が行われます。テキスタイルはほぼ全部の授業がフィンランド語で行われましたが、先生や生徒の方々が後で英語で説明してくれるので大丈夫でした。

私は留学前、英語が苦手だったので不安でしたが、生活する上で話さないとどうにもならないので、すぐに慣れました。アパートも大学も、フィンランド人よりもインターナショナルの生徒と関わることの方が多かったので慣れるのが早かったのかもしれません。ですが、作品のプレゼンテーションをするには自分の英語力では全然足りないと感じました。

異文化交流について

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美術館や展示などに積極的にみんなで行くと、交流も深まるし、勉強にもなるのでよいと思います。学校でのオリエンテーションや遠足、イベント、パーティーなども参加すれば楽しいと思います。

私の住んでいたアパートは学生ばかりだったので毎日のようにパーティーがありましたが、いろいろな人と知り合う良い機会になるので、適度に参加すれば良いと思います。また、HOAS の家にはサウナが付いています。サウナはとても良い交流の場です。

留学生同士がとても仲が良くて楽しかったです。