留学生レポート 多摩美から海外へ

交換留学生の体験談を掲載しています。

  • 2019年度
  • 2018年度
  • 都築 明日香

    所 属 絵画学科 油画専攻
    留学先 中央美術学院(中国)

    私が北京を選択した理由には、私自身が持つルーツと関係があります。幼い頃の経験を、21歳の自分が持つ思考や言葉で、再構築したいという思いから選んだ「場」です。私の交換留学には、大きな枠組みとしてルーツの探索があり、目的を達成するための基盤として美術が必要でした。過去の自分を掘り下げる作業の傍らで、美術を通して出会う発見や学びを大切にし、一日一日を噛み締めながら過ごす事ができました。

    専門分野について

    制作においては、ロシア美術に由来する素描を抽象表現へ転換する課題、表現力の拡張を試みる目的で身体表現やサウンドデザインの授業への参加、中国美術史の授業では、書道レクチャーを通して水墨画の歴史を学び、日頃から水墨画専攻の作品を鑑賞するなど、学院ならではの環境に助けられ、自身の創作活動の幅を広げることができました。

    その他(異文化交流など)

    日々の生活では歴史観や教育観の差異で悩む事が多くありましたが、中国の時間の重なりとして認識し、文化として受け入れる事で、友人達と丁寧に接する事ができたと思います。苦難に直面しても、“明日も続く異国での生活をどの様に乗り切るか”を常に考え続けた事が、何よりも自分の糧になったと感じています。

    橋場 みらん

    所 属 絵画学科 油画専攻
    留学先 国立高等装飾美術学校(フランス)

    入学当初は教職を取り終えた卒業後に海外の大学へ留学しようと考えていましたが、2年生の夏にヨーロッパへ一人旅をしてから幅広く美術を知りたいという気持ちが強くなり在学中の交換留学を決意しました。

    語学について

    私は帰国子女ですが一人の海外生活は初めてだったので、新しい人との出会いや会話に緊張しました。フランスで様々な生き方をする色んな国の人々と共に生活するのは刺激的で楽しかったです。しかし、違うものを持つ人たちと関わる中で自分の未熟さと無知も実感しショックも受けました。それが制作への考え方の変化に繋がって行きました。

    専門分野について

    多摩美では油画専攻に在籍していましたが、留学先では彫刻・インスタレーションを作る専攻で美術を学びました。絵画とは違う次元の作品を作ることで絵画表現も自然と変化しました。現地でリサーチをする中で自分の制作テーマにも引っ掛かりを感じ、そこもだんだん変わりました。

    その他(異文化交流など)

    人との出会いや沢山の作品を見たことは人生と制作に影響した大切な記憶です。留学という挑戦をしたことは前に進む為の大きな一歩になりました。まだ知識と技量は足りないと実感できたので、留学経験を超えて行く挑戦をし生きることが目標です。

    宮林 妃奈子

    所 属 絵画学科 油画専攻
    留学先 ベルリン芸術大学(ドイツ)

    多摩美入学時に、漠然と交換留学することを決めていました。制作環境を変えること、文化や生活が異なる土地で自分の作品がどのように見られ、作品を通してどのようなコミュニケーションができるのか、実際に西洋に身を置いて絵を描きたいと思ったからです。また国や民族、宗教などで境界の折り合いをつけているのとは別に、絵には普遍的なコミュニケーションの力があると感じています。言語圏の異なる地域で自分の絵を発表することで、そして様々な芸術様式の中で、絵画という表現手段がもつ可能性を模索したいと思いました。

    初めてのヨーロッパでの7ヶ月の生活、毎日の小さな出来事、会話、風景が新鮮な空気として身体に入り込んできました。ベルリン芸術大学(UDK)から1時間ほど離れた留学生向けのフラットシェアアパートで暮らしていました。金曜日のキッチンでは、夜な夜なパーティが始まることや、自国の料理を振る舞うことなど、学外での国際的な交流もあり、カルチャーショックを感じながらも、楽しいひとときを過ごすことができました。冬が寒いドイツでは、クリスマスマーケットのグリューワインでホッとし、またコロッケ屋さんで売り子のバイトをして、ドイツに住んでいる方々の暖かさにも触れました。週末には、ベルリン以外の街や、スイスやポルトガルなど様々な国に旅行に行きました。少しだけ、心細くなる一人旅では、いつも朝早くに町を散歩しました。どんなに暗いヨーロッパの冬の朝でも、仕事を始める人々のうごきや澄んだ朝の空気は、どこにいても朝があることに、気づかされ、勇気づけられました。

    専門分野について

    私が所属していたUDKのスタジオでは、2週間に1度クラスミーティングがありました。毎回100枚くらいのドローイングを発表し、教授にほんの数枚だけ選びとられ、シンプルな言葉をもらい、その言葉の意味と、選ばれたものの理由を考えながら制作していました。言葉が不自由な分、自分の目で見ること、相手とどのようにコミュニケーションをし、伝えることができるかということを大事にしていました。またUDKには、様々な工房があり、リトグラフやエッチング、製本、ヌードクロッキーなどのワークショップを履修し、初めて扱う素材や方法も、先生やチューターさんが丁寧に教えてくれました。アトリエの天井は高く、広々としていて、いつも真摯に自分の仕事と向き合うアトリエの友人たちの姿が印象的でした。

    その他(異文化交流など)

    2020年3月初旬 新型コロナウィルスがドイツでも広がりはじめ、1日毎に世界の変化が忙しなくなった頃、私は最寄りのSバーンの駅まで散歩していました。久しぶりにお日様がでて、心地良く、きっとまぬけな顔で歩いていたと思います。向かいからやってくる地元のおばあさんが、すれ違うときに、私の目を見て、笑顔で「Morgen!」と挨拶をしてくれました。私は、その出来事をすごく大事な瞬間に思いました。そんな一瞬の当たり前のことが、いま自分がここにいること、半年間ここで生活していたことを実感させてくれて、なにかをポンと飛び越えるような気持ちになりました。異国での生活を通して、「目に見えないコミュニケーション」というものが、人や国、場所に潜む境界線を超えてゆくものだと実感し、大切だと思うようになりました。同時に「絵画」は、言語を超える大切な体験を鑑賞者に提供し、境界を超えて新しい空間へと導くものだと強く感じました。

    半年間という短い期間でしたが、人との繋がり、西欧の生活に根付いている芸術や文化、制作など、日本では簡単に通り過ぎてしまうような小さな事に躓くこともあり、不便さを感じつつも、それらの経験はとても新鮮で、人やモノたちの繋がりを肌で感じる事ができました。今後も、もっといろんな場所を歩いて、体験して、その土地で起きる出会いを大切に、絵を描いていきたいと思います。

    片山 花香

    所 属 生産デザイン学科 プロダクトデザイン専攻
    留学先 ヨーテボリ大学(スウェーデン)

    私は元々海外のデザインを学びたいという希望があり、一年生の頃から交換留学に挑戦してみたいと思っていました。協定校を調べていく中で、ヨーテボリ大学のデザインコースはグラフィックやプロダクトなどの領域ごとに分かれずに、総合的にデザインを学ぶという部分が魅力的だったことから目的地に選びました。

    専門分野について

    スウェーデンは環境配慮に力を入れている国のため、大学の授業でもSDGsや環境問題を取り扱うことが多く、グループでのディスカッションや外部講師の講義など、環境問題への考えを深める時間がほとんどでした。環境問題が主軸になったデザインを考えることは初めてのことだったので、新鮮な気持ちで取り組むことができました。

    その他(異文化交流など)

    学校外では、ストックホルムの家具の展示会に行く機会があり、北欧の家具メーカーの最新のデザインを目の前で見ることができました。家族連れで訪れている方も多く、一般の方のデザインに対しての関心の高さも伺うことができました。

  • 新井 遥

    所 属 絵画学科 油画専攻
    留学先 弘益大学校(韓国)

    語学について

    留学が始まる1年程前から趣味でマンツーマンの韓国語教室に通っていました。けれどもやはり日本で勉強していた時より、現地の言葉を身近に聞くことができるので、生活するうちに段々と耳から慣れていったように思います。私の履修していた授業は、批評会での作品の説明やレポートなど韓国語で行われました。教授の説明なども全て韓国語だった為、大変だった時もありましたが、分からないところは学生の方に助けてもらいました。弘益大学校には日本語を話せる学生のバディさんが日常生活をサポートしてくれるので、困った時はとても頼りになりました。

    専門分野について

    現代美術を学ぶ授業や、実技がメインの授業を履修しました。私が履修した授業は教授1名に対して学生7~9名程だったのでアットホームな環境でした。せっかくの留学だったので、持っていく画材は最小限にし、主に現地で調達しました。授業内に数回美術館見学や、レポート課題もありました。私は主に韓国の生活で感じたものを題材に油絵を制作しました。今まで試したことのなかった表現方法のアドバイスを貰えたりと、とても有意義な時間を過ごしました。アトリエで貰うことのできた個々の場所は少し狭かったのですが、絵画科の学生の方と近い距離で制作することができました。

    その他(異文化交流など)

    絵画科に来る日本人の留学生が珍しいようで、同じ授業をとっている学生の方が積極的に話しかけてきてくれました。友達になった子が他学科の方を連れて食事に誘ってくれたり、お家にお邪魔して一緒に日本の映画を見たりと、貴重な交流がたくさんできて楽しかったです。日本語を学んでいる学生もいたので、その方とお互いの言語を教え合うことなどもしました。また、担当のバディさんが様々なところに連れて行ってくれたので、旅行では経験できないようなこともすることができました。私は課題と並行してなるべく色々なところに行きたかったので釜山に日帰りで訪れたりなどもしました。韓国語の授業では様々な国の留学生が履修しているのでそれぞれの文化に触れ合うことができ面白かったです。

    大川 翔吾

    所 属 環境デザイン学科
    留学先 ベルリン芸術大学(ドイツ)

    まずは、日本人の友達(現地に詳しい)をつくること!留学だからといって我慢しない!日本人でつるむのと日本人にアドバイスを求めるのは違う。日本人も海外の人も友達をたくさんつくろう!

    語学について

    今回は、初めての長期留学だったので、この留学における語学の目標は英語でした。
    元々、英会話に全く自信がないわけではわかりませんでしたが、留学当時は、ヨーロッパアクセントの英語をほぼリスニングすることができず、困惑しました。滞在から2ヶ月ほどで、ドイツアクセントやヨーロッパアクセントの英語に慣れてきて、3ヶ月くらい経つと英語でのリスニングとスピーキングをすることに抵抗がなくなりました。英語を世界中の人と使うと考えた時、ボキャブラリー以前の重要なスキルを身につけられたと思います。

    専門分野について

    元々ドイツのプロダクト生産や、社会のシステムに興味がありUDKのプロダクトデザイン学科を選択しました。UDKでは、造形やアウトプットよりも先に社会問題や政治について議論しつづける傾向が強く、留学前からは想像できないほど、国際政治やネットニュースを見るようになりました。大学院へ進学した理由もアカデミックなデザイン領域と社会のつながりを考えるためだったので、大変良いキッカケと刺激を受けました。ヨーロッパとアメリカの学生の社会への意識の高さに触れて、より説得力のあるアウトプットにつながると感じています。

    その他(異文化交流など)

    プロダクトのプロジェクトの一環として、10月末から10日間イスタンブール(トルコ)のデザインワークショップへ行きました。現地の大学生とデザインワークを行ったり、貿易や流通が盛んなイスタンブールの市場を見ることができ、ヨーロッパともまた違う異文化の活気やデザインに触れることができました。UDKでの交換留学生との交流も多く、半年間の1セメスターを通して、世界中の同世代の学生と食事会をしたり、情報交換したりできます。実際に紛争が近くで行われているところの出身の子がいたり、アメリカから選挙のことを聞けたり、絶対に視野が広がります。

    星 友貴

    所 属 生産デザイン学科 テキスタイルデザイン専攻
    留学先 オスロ国立芸術大学(ノルウェー)

    こんにちは、ノルウェーのオスロ国立芸術大学のファッション・コスチュームデザイン学科に留学していた星 友貴です。

    オスロはノルウェーの首都ですが、横浜ほどの規模で、中心街、港、美術館など時間をかけずに移動できます。街中カラフルな西洋風の建物が建ち並んでいます。住まいはオスロ市内の大学に留学している学生数名でキッチンを共有して生活するシステムのフラットシェアのアパートに滞在しました。

    全体での授業はノルウェー語で進められます。もちろん理解できないので、翻訳したり、教授や友達に聞いて理解していました。基本的には教授との個別面談なので英語で会話しました。前半は素材についての試作やkeynoteを用いてプレゼンテーションしました。その際、日本で制作した作品の実物を披露しました。その後、本格的に服を作る課題が入ってきました。周りの学生に比べ衣服制作の経験が浅いことから何度も試作を繰り返し制作し形にしました。日本では教授方が正解を教えて下さり、それを応用して制作する形でした。しかし、こちらでは正解を自主的に探すところから始まり、正解を拡げる形だったので、僕にとって挑戦期間だったと思います。自分の思い通りに出来上がり、自信に繋がりました。最終課題ではファッションショーも行い、自分の作品を学部内外の多くの方々に見ていただける機会もあり、とても充実した授業内容でした。

    また、短期休みがあり、ノルウェーの国内を旅してきました。世界最大級のフィヨルドの大自然に魅了され、多くの人と出会い感動させられました。
    その様子は僕のInstagram(@tomostar_life)・YouTube(Tomotaka Hoshi)でご覧ください。

    この留学生活を通して、日本では得られない様々な事を得られたような気がします。学校で得た制作技術はもちろんですが、初めての1人暮らしで今まで見えなかった部分も見えたりしました。また、1人での時間が増え、過去の自分と向き合ったり、未来の自分のビジョンを考えてたりすることも出来ました。この留学経験は必ずこれからの人生に活かされると思います。

    本多 綾乃

    所 属 絵画学科 日本画専攻
    留学先 アアルト大学(フィンランド)

    語学について

    詰め込んだ分だけ実践できる環境のおかげで、英語を身に付けることが出来ました。日本画専攻ですが、アアルト大学には絵画学科に相当する学部がないため、現代美術を社会的な観点からの理論立てをする学科Visual Culture and Contemporary Art=ViCCAへ在籍。こちらは理論ベースなので英語がとてもハイレベル!西洋哲学や批評的な姿勢に全く不慣れな私は、英語もあまり出来ないままで渡航したので、初めの3-4ヶ月は非常に苦しみました。時間があれば地道に学習を続け(単語の暗記やポッドキャストを聞く、宿題で出る論文は必ず読むなど)、徐々に分からないことが減って来たことを実感しました。アアルト大学の修士課程受験を密かに決意し、最終的にTOEFLのスコアは帰国後に101点となりました。

    専門分野について

    絵画制作だけを行う学部はアアルト大学にありません。ですが、全専攻の学生が履修できる共通科目(=YOYO)の中に、絵画・版画・陶芸・彫刻といったワークショップ形式の授業が数多くあるので、制作環境を作れます。私の場合は、日本で勉強する機会がないと思った語学やキュレーションの履修を取り、制作面ではもとより関心のあった物語と絵をつくる「Visual Narratives Studio」「Creating Stories and Narratives」などを履修しました。大学はこんな感じで、ガンガン制作したい人には物足りないかも知れません。ですが、幻想的な北国の風景や、日々目にする北欧デザインは新しい刺激たっぷり。私の卒業制作は、それらを反映させた作品を制作しました。(多摩美の卒業制作紹介ウェブサイト

    その他(異文化交流など)

    アアルト大学は非常に国際色豊かで学際的。ViCCAは国籍の垣根が低く仲の良い学年で、プライベートでも仲間として貴重な時間を過ごしました。また、私の場合、寮の存在も有難かったです。もともとキリスト教には馴染みがあったものの、初めて経験するクリスチャンの教義に基づいた生活というのは新鮮で気付きが多く、生きる上での心の持ちようというものまで教わった気がします。寮生を通じて出会った他大学の友人たちも素晴らしい人たちでした。心の温かな人たちに出会い、支えてもらい、自分もそんな人になりたいと思えたのも留学の大きな収穫です。