2010年度春期講座

講座番号
1133

ピカソをあそぶ―コンストラクションを中心として

ピカソの作品には絵画、彫刻、そしてコンストラクションがあります。
この3つの表現手段を講義と演習で辿りながら、ピカソの眼差しの行方を追っていきましょう。
そして最後にコンストラクションの作品に挑戦し、経験することのできない驚きを感じてみましょう。

講座内容

第1~8回
絵画―キュビズムとは/描く/彫刻とは/粘土で制作/絵画と彫刻の間の次元―コンストラクションとは/制作
開講日 2010年5月15日~7月10日の土曜日(6月26日除く) 全8回
時間 【講義/第1・3・5回】17時~18時30分
【演習/第2・4・6~8回】17時~19時
場所 上野毛キャンパス
受講料 2万5000円(材料費別途5000円)
定員 22名
申し込み締切 4月24日必着
講師 海老塚耕一[美術家、本学教授。素敵なあそびとしての美術の楽しさを、制作と理論から探る]

コラム 美術をあそぶ 海老塚耕一


 
《ラス・メニーナス》を題材としたピカソの作品《マルガリータ・マリア王女》

作品をあそぶ、あそべるということは、その作品が大きな世界を持っているということです。迷宮に迷い込み、とまどいのなかで感じ考える、そんな時間を持てる幸せがそこにはあります。
たとえばベラスケスの《ラス・メニーナス―宮廷の侍女たち》を覗いてみればそのことが見えてきます。ピカソはこの作品の解釈のためにどれだけ描き、考えたのでしょう。ミシェル・フーコーは大著『言葉と物』の第1章を「侍女たち」として表象の問題と人間の不在をテーマとし掘り下げています。また、雪舟の《四季山水図》に目を向ければ、そこに描かれたひとりの人物の目をもって、たとえば赤い荷を運ぶ馬丁となって絵のなかに入ることで、四季の光景、水面の静けさ、人々の賑わい、さらに風のやわらかなそよぎまで感じることができます。
そんなあそび心を持って作品と対峙する、そこは面倒なルールなんてひとつもない自由な世界です。けれども知をもって作品と接したならば、さらに知が消えていき作品と同化して追創作できたなら、あなたはベラスケスにもピカソにも、マティスにだってなれるということです。