ComputerStudio
   
コンピュータ・スタジオ-「施設目的」「特徴」「設計コンセプト」
(情報センター「コンピュータ・スタジオ設計ノート」より)
     
施設目的
教育用の情報機器を持たない学科(共通教育学科を含む)に情報機器を利用したカリキュラムを提供する。
     
施設の特徴
学内の既に情報機器を導入している学科や一般のトレーニング用施設と比較し、本施設は以下を特徴とする。
TAの利便性 本施設の利用者は情報機器の操作に関しての初心者が対象である。初心者教育ではTAによる個別な指導が頻繁に発生する。TAが通路を歩きやすくする目的で以下の工夫をした。
  液晶モニタ、省スペース型PCと特注の(70cm幅)机の導入 見渡しが良く、広い通路を確保
  ワイヤーメッセンジャーを活用し床配線を完全排除 TAや利用者のつまずき、またはそれによる電源断などの事故防止
  機器番号の視認性 TAが利用者を特定しやすいよう、各機器にシリアル番号を貼った。極端に大きくしたのは視認性の他、総務部の資産管理シールのようなイメージを払拭するため。
監視カメラ映像のインターネット公開
  本施設は特定の学科に帰属しないため、全学科(約3000人)が潜在的な利用者となる。学科帰属の施設と異なり、施設管理者は利用者の顔と名前を特定できない。このため、利用者は匿名で公共物(情報機器)に接するという形になりヴァンダリズム的行為が発生しやすい条件となる。これに対応して監視カメラを導入した。ただし、これは通常の監視カメラの運用と異なり、管理者が昼夜監視しているわけではなく、同時にインターネットにより外部に公開もされている。これは管理者の監視という負荷の軽減はもちろん、世界中のインターネットユーザを(可能性の上で)監視者とすることにより盗難抑止効果を期待するとともに、一般利用者の監視カメラに対する息苦しさを緩和することを狙いとする。
センサーコード
  同様の理由で主要な機器にはセンサーコード(機器の無理な移動に伴いブザーが鳴る)を設置している。セキュリティワイヤーも検討したが、過度に威圧的であると判断し採用を取りやめた。
ライブ授業方式
  受講者数には大きな幅があり、最少7人から最大80人が現在予定されている。これに対し効率的な教室割りをするため、受講者数が多数の際は2教室をカメラで中継するライブ授業方式を採用した。
情報機器選択基準  情報機器選択にあたり、以下を重視した。
  システム障害の可能性を高める拡張性は積極的に排除されていること(タワー型筐体除外)
  特別なソフト無しにユーザーによるBIOS、OS、モニタの設定変更を制限できること(Apple 除外)
  切り分けの作業時間を極力少なくするため、パーツ交換が容易であること(ショップブランド除外)
     
設計コンセプト
管理の「しやすさ」「少なさ」
  この施設では「機器管理専門に常駐する助手」は不在である。管理担当者(情報センター)は主な業務としてネットワーク管理をおこなっている都合上、管理担当者が本施設のために割ける年間作業量は初年度で最大25%、次年度からは15%以下を目標とする。
威圧的・管理主義的になりすぎない
  情報センターの前身が総務部(情報推進室)であったため、威圧的・管理主義的になりすぎないよう、注意する。特に初心者が萎縮しないよう心掛ける。
初心者に最適化した設定
  過失による誤った操作によってシステムが再起動後も影響を受けるような設定は利用できないようにする。このとき、方法選択の指針として、なるべく明示的に禁止するではなく、機能自体を隠蔽するようにする。
一方、故意による小数の破壊的な操作は制限されなくてはならないが、そのことによる一般利用者への影響は、なるべく少なく押さえるよう努力する。
上記の達成のため、切り捨てる部分は切り捨てる。
  メーカーの充分なサポートの上に、パーツが自由に交換できて、子供や老人から建築デザイナーやCG制作にも使え、安価で、管理しやすく、長年使える機器など存在しない。利用条件に応じて、既存の商品の中から最適な選択をするということは結局「何を切り捨てるか」ということである、と割り切る。