| オンライン工房-2 |
制作/肥沼 徹
銅鍛金による人体オブジェの制作を紹介
当金と木台 |
まず、鍛金をご存知ない方のために、簡単に説明したいと思います。伝統的な金工技法は大きく分けて彫金、鍛金、鋳金に分けることがで きます。彫金は、金属で細かい細工を施す技法で、ジュエリー等もその中に含まれます。鍛金は、金属の板や棒を金鎚(かなずち)や当金(あてをがね)を用い て打ち絞り、立体にしていく技法です。そう、今ではだいぶ少なくなってきたけど、鍛冶屋さんの仕事です。そして、鋳金は、作った型の中に、炉で溶かした金 属を流し込む技法です。そう、鎌倉の大仏様とかがわかり易い一例です。 |
金鎚、木鎚、当て盤 |
今回は、その鍛金技法を使って人体オブジェを作ろうという試みです。素材は銅板の1.2mmを使います。形や表情に応じて、金鎚や当 金を替えて打ち絞っていきます。そう、ひたすら打ち続けます。よく「時を刻む」という表現を聞きますが、まさしくそれです。自分の制作した時間を金属に写 していくという感じです。そして、鍛金技法の特徴として、金鎚で金属板を打ち絞ると、金属が硬く丈夫になり、表面に張りがでてきます。 |
マケット |
鍛金制作に入る前に、私がまずやることは、作ろうとする作品のスケッチと縮小模型の制作です。これはいわば、設計図の前段階でとても 大切な作業のひとつです。縮小模型は作りやすさを考慮して、紙粘土を使い、1/5スケールでつくります。この時完成図をイメージしながら、あーでもない、 こーでもないと時間を費やします。 |
発砲スチロールによる原型 |
そして、次に、その縮小模型をもとにして、発砲スチロールで原寸大模型を制作します。実素材で制作する上での手がかりになる原型で す。 |
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鍛金制作 |
| 今度はその発砲スチロールの原型を元に、銅板で形にしていきます。銅板は買ってきたままだと硬すぎるので、一度バーナーであぶり、焼 鈍(しょうどん)して、柔らかくしてから、使います。それから、アルゴン溶接機を使い、鍛金加工したパーツをつなぎあわせて、だんだん立体にしていきま す。この写真は人体の上半身がだんだん立体になっていく様子です。 |
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松脂を詰めて彫金作業 |
| さあ、ボディがだいたいできてきたので、耳や手、付属品の鳥の制作です。ちょっと細かな作業になります。パーツが細かくなり、金鎚や 当金で対応できなくなってきたら、それぞれのパーツに溶かした松脂(まつやに)を入れて、彫金で使う鏨(たがね)を使い、細かく仕上げていきます。とって も地味で時間のかかる作業ですが、結構好きな仕事です。 |
中はもちろん空洞です |
子、顔をボディに取り付け、仕上げていきます。形が大きくなると、作品を手で支えられなくなるので、床に置いて作業を進めます。ま た、自動車の板金屋さんが使う当盤の改造した道具も使います。 |
形の完成 |
鏡、蝶ネクタイ、ボタン、手、鳥を取り付けて形は、ほぼ完成しました。ちなみにボタンは旋盤を使って削り出しています。 |
緑青仕上げ |
さて、いよいよ表面仕上げです。緑青仕上げの方法を説明します。まず、希硫酸を使い、銅に付着した酸化膜をとり、クレンザーで良く洗 います。その後、重曹で銅の表面を中和させます。その中和させた表面に「610ハップ」を使って今度は表面を硫化させます。これで緑青仕上げのベースがで きるのです。あとは天気のいい日に緑青液を塗り、緑青を着けていきます。(緑青は紫外線に反応するのです。)安定した、緑青が着くのに数週間かかります。 |
