本展は多摩美術大学で教鞭を執り、戦後の彫刻シーンに影響を与えた作家達による近現代彫刻を中心にしたセレクションです。舟越保武が島原の乱に散ったキリシタン兵士達の魂を鎮めた「原の城」や寒川典美の古事記に因んだヒューマニズム溢れる造形、戦後の復興期に力強い希望を具現化した笠置季男の「マーキュリー」や早川巍一郎が追求した瑞々しい感性や日本女性の美しさをどうぞご覧ください。さらにブロンズによる塊量感をもった表現と制作技術の継承に熱意を注いだ工藤健、彫刻素材の選択肢に可能性を開き近年はレンガを研磨した作品を数多く手掛ける石井厚生、大胆さと入念な配慮を併せ持つ形状が見る者の感受性をあるがままに抱擁し、秘めた自己との対話を静かに引き出すような若林奮の世界にも触れて頂ければと存じます。
そして更なる見どころは、今春に新収蔵となったばかりの建畠覚造の作品。戦後彫刻史に大きな足跡を刻んだ建畠が1980〜90年代にかけて精力的に取り組んだ「WAVING FIGURE」や同時代の貴重なデッサンも公開いたします。
本展では、アートドキュメンタリストである安齋重男が撮影した多摩美術大学八王子キャンパス内にある彫刻の写真も展示。「タマビの彫刻力」を発信します。創立の1935年から現在まで、多摩美術大学は表現への挑戦とアートの可能性を開拓してきました。その歴史に足跡を刻んできた作家達の彫刻を公開いたします。皆様、どうぞお楽しみくださいませ。
1:横たわる裸婦C ブロンズ 1965年 早川巍一郎
2:マーキュリー テラコッタ 1951年 笠置季男
3:本郷新 ブロンズ 1975年 西常雄
4:原の城 ブロンズ 1971年 舟越保武
5:WAVING FIGURE 53 合板、木、ウレタン黒塗装 1987年 建畠覚造
6:八槻の保々吉灰 テラコッタ 1989年 寒川典美
7:無題 木 1994年頃 ズビネック・セカール
出品作家
建畠覚造/石井厚生/大宮政郎/笠置季男/木内克/工藤健/寒川典美/Zbynek Sekal(ズビネック・セカール)/西常雄/早川巍一郎/藤川勇造/舟越保武/若林奮
関連イベント
■ 学芸員によるギャラリーツアー
-
日 程
4/4(水)・4/29(日)・4/30(月・祝)・5/3(木・祝)・5/4(金・祝)・5/5(土・祝)・5/6(日)
-
時 間
各日 14:00〜15:00
-
参加費
無料 (ただし入館料が必要となります。)
-
主 催
多摩美術大学美術館
-
休館日
火曜日(ただし5月1日は開館)
-
入館料
一般 300円(200円)
大・高校生 200円(100円)
※障がい者および付添者、中学生以下は無料
※( )内は20名以上の団体割引料金
※ 4月4日(水)は多摩美術大学入学式のため入館無料
|