第二次世界大戦後に目覚ましい経済成長を遂げたアメリカでは、1960年代に入ると貧困や人種差別、学園紛争といった社会問題が浮上し、さらにベトナム戦争の泥沼化に対する反発から民衆運動が拡大しました。「愛と平和」を求めた若者たちは路上に溢れ、自由なファッション、音楽、アートで反体制の声を表現しながら、「ヒッピー」や「フラワー・チルドレン」と呼ばれるような独特のライフスタイルを形成します。
こうした揺れる社会情勢の中、敏腕プロモーターとして知られるビル・グラハム(Bill Graham,1931 - 1991)は60年代のアメリカ西海岸を舞台に新しいロック文化をつくりあげ、20世紀音楽に革命を起こしました。グラハムは、サンフランシスコのライブ・ハウス「フィルモア・オーディトリアム」とそれに次ぐ「フィルモア・ウエスト」、さらにニューヨークの「フィルモア・イースト」を拠点に、数多くのロックバンドを招いてライブによる音楽プロモーションを定着させます。告知のためにつくられた色鮮やかなポスターの数々は、ビジュアルと音楽を融合した「サイケデリック」と呼ばれる新しいポップカルチャーのムーブメントを巻き起こしました。極彩色によるハレーションや幻覚の再現だけでなく、19世紀末のアールヌーヴォー様式の引用や実験的なタイポグラフィの試みによって、個性豊かなロック音楽のイメージを見事に視覚化しています。
本展では、66 年から71 年までの5 年半に及ぶ「フィルモア時代」にグラハムが手掛けたポスター99 点を竹尾ポスターコレクションの中から選出し、制作に関わった19人のクリエイターがどのようにロック音楽を表現したかを探ります。
1. ウェス・ウィルソン
《Otis Rush and His Chicago
Blues Band / Grateful Dead》1967年
2. リー・コンクリン
《Creedence Clearwater Revival
/ Fleetwood Mac》1969年
3. ノーマン・オー
《Santana / Dr. John》1970年
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主 催
多摩美術大学
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共 催
株式会社竹尾
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協 力
REVERSE
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休館日
火曜日
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入館料
無料
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