・白描図・彩色復原図・創建当初部材(国宝)
本展では、この彩色文様を中心とした創建当初の金堂荘厳(本尊を安置する建物をおごそかに飾ること)する有り様を展示すると共に、彩色調査と復原にあたった奈良教育大の大山明彦准教授のご協力を得て古建築における彩色研究手法も公開し、古美術研究の重要な一側面として紹介いたします。具体的には、部材から直接記録された文様原寸の白描図(約50点)・彩色復原図(約20点)そして彩色が施された復原立体的部材(3点)の出品となりますが、彩色の痕が残る金堂創建当時の貴重な部材(国宝・7点)も見所の一つといえるでしょう。
■ 身舎支輪裏板 |
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部材(国宝) | 彩色復原図 | 白描図 |
画像提供:奈良県教育委員会 |
■ 大虹梁側面図 宝相華 |
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白描図 | 彩色復原図 |
画像提供:奈良県教育委員会 |
■ 支輪子 小花文 |
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白描図 | 彩色復原図 |
画像提供:奈良県教育委員会 |
■ 扉八双金具下彩色 |
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白描図 | 彩色復原図 |
画像提供:奈良県教育委員会 |
・考古遺物
また、完全解体修理の機会で得ることができた知見として金堂基壇の発掘遺物である、古瓦や磚〈せん〉、金銅装飾具など(約16点)を展示。また、唐招提寺が建つ以前にあった、新田部親王(にたべしんのう)邸宅と推測される古瓦の他、唐招提寺戒壇付近から出土した磚仏もご覧いただけます。これらを通じて金堂創建と鑑真和上の在世〜遷化前後に関わる時代を読み解く材料とし、天平文化の「息吹」をご来館者に伝えたく考えております。
■ 古瓦 |
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鬼瓦 | 複弁八弁蓮華文軒丸瓦(上) | 均整唐草文軒平瓦(下) |
写真撮影:小林宏道 |
・CG
加えて、CG技術を用いて放送メディア等の一線で活躍されている東洋大学教授の多田光利氏の協力の下、調査から得られた情報を基にCG技術を連動させた展示も行います。CG制作につき特筆したいことは、唐招提寺にご許可をいただき、金堂内の動画撮影を行った点です。この成果は、金堂建築と彩色文様を画面上でリンクさせた「分かりやすい展示」の工夫であると共に、学術資料への寄与とCG技術が文化施設において役割を果たす新たな役割を探るものと位置づけられるでしょう。
■ CG 展示の一部 |
金堂画像と絵画記録情報(白描
図・彩色復原図)を視覚的にリンクさせ、 立体的な情報とします。 |
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・再現鴟尾(しび)と金堂模型
さらに、完全解体に際して新造された再現鴟尾を展示すると共に、1/20の金堂模型(長岡造形大学所蔵)も出品。唐招提寺金堂の構造と全体のイメージをより間近に伝えます。
■ 鴟尾 |
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再現鴟尾 |
画像提供:奈良県教育委員会 |
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