ポジャギ―朝鮮王朝時代の女性の祈り

倉 爽花

作者によるコメント

朝鮮王朝時代に華々しく姿を現したポジャギはふろしきという道具の概念を超えて、女性の芸術と唱われる。日本のふろしきは道具としての使用が主だが、ポジャギは装飾性が強く、描かれる文様や使われる色彩に様々な意味が込められている。あまり布を駆使して美しい作品を作り出す日本の裂き織りとポジャギを比較すると、そこに込められた女性の祈りや願いは日韓に共通するものであった。

担当教員によるコメント

倉爽花さんが卒業論文の主題に選んだ「ポジャギ」とは、朝鮮半島で作り続けられてきた「ふろしき」のことである。サブタイトルに「朝鮮王朝時代の女性の祈り」とあるように、上は王族から下は庶民まで、厳しい儒教道徳のもとで暮らさなければならなかった女性たちが、それぞれの家の伝統を守りながら祈りを込めるように紡いできたのが「ポジャギ」である。その「ポジャギ」が作られた背景、素材、色彩、使用方法など、何度も韓国に足を運び自分の目で確かめ、韓国語で書かれた一次資料を多数用いてまとめられた優れた成果である。さらに後半では、日本を含めアジアに広範に見られる女性たちが担ってきた「包む」文化への比較も意図されており、歴史学や民俗学と芸術学の接点が探られている。

准教授・安藤 礼二