Gradation

徳田 可奈子

作者によるコメント

立方体を高く積み上げるための構造体となるラインが、下に積まれているほど増え、上に積まれていくほど減る。そしてこの集合体はグラデーションという現象を起こす。これは、構造体として必要な要素が、必然的な美しい現象に生まれ変わる瞬間を表現した作品である。

担当教員によるコメント

「装飾パターンを平面ではなく立体で表現したい」というイメージから生まれた作品。平面でもパターンによっては重層した奥行きが存在しており、そういった奥行きを立体に置き換えるような作業が初期段階では繰り返された。平面パターンに重力は関係してこない、要は構造的でなくても成立している。“装飾を立体にする”のではなく“立体が装飾になる”といった試行錯誤の末、主に垂直荷重を考慮した構造で自重の負荷が最もかかる下部から上部にむかって構成要素が少なくなるグラデーションパターンとなった。透過性があり構造的な密度の粗密がそのまま存在感を決定しており、簡素なダンボール素材を繊細に扱った立体構造(空間)を、装飾的で官能的な次元へと昇華させている。

教授・米谷 ひろし