Light light

黒田 阿規人

作者によるコメント

窓のように光の景色を抽出し、本のように光の情景が読める。そこには、今まで見る事があっても気づかない、条件が限られた中での繊細な光の存在を喚起している。世界は華奢な瞬間、瞬間の積層である。

担当教員によるコメント

作品の最終的な成果もとてもユニークで作者の人柄と個性が表現された秀作であるが、彼がたどったプロセスを少し紹介することでこの作品を感じる手がかりになるかと思われる。
おおむね四畳半の大きさの原寸の空間表現で実際に彼の表現する光に包まれる作品と格闘していたその世界観が、時に宇宙、時に花火、時にDNAとマクロミクロの間を行き来し悶絶していたが、ある日さわやかな風に洗われたような涼しげな表情で一枚の黒紙を持参。そこには彼の広大な表現世界への入り口のような小窓がいっぱい開けられていた。
人と光の関係性を表現する作品のテーマは空間の大きさを凌駕し、一枚のページをめくる関わり方に見事に集約された。
テーブルに置かれた一冊の本は彼が垣間見た様々な光景を覗き見る糸口の集積となったのではないだろうか。

非常勤講師・内原 智史