そのむこうがわ, ―町田駅前におけるプロジェクションマッピング計画―

鬼塚 知夏

作者によるコメント

町田駅前は複数の大きなビルで囲われている。常に変化のないビルの壁に、ビルの向こうにある風景の映像を映し出す。駅前空間に常に変化のある風景をもたらすとともに、街の風景の広がりを作り出す。

担当教員によるコメント

毎日通い馴れた、町田駅の雑踏の中で、環境デザインの分野でなにができるのか?多くの人が流れるだけの乗り換えのデッキの上の空間。自分の住む町田が見えなくなってきている。少し離れれば、魅力的なところがたくさんあるのに、流れに乗って移動する人々にはもちろん町田が見えない。流れる人々を囲い込むビルの向こうにあるもの、町田の魅力を伝えたい。ビルを消せたら!街の魅力を伝えるために、大きなモニターで映像を通してという発想が熟した。
丹念に手書きで表現した建築のエレベーションに映し出されたのは、そのビルの向こうにある丘や緑へのまなざしであった。「こんなところなんだ!町田は!」デッキを歩く人は強制的に見せつけられる訳でもなく、周辺環境の説明を受ける訳でもなく、町田を感じることができる。そこにあるもの、そこにあったものを大切に想い、他者に感じさせること、環境デザインのど真ん中である。

教授・吉村 純一