無限のひとかけ

富所 駿

作者によるコメント

空間そのものであり、モノでもある存在をつくりたかった。テグスをくくるという簡単な操作で構成し、構造的妥当性を与えできあがった空間の要素。細胞や泡のように増殖、伸縮することで無限に広がり変化しうるその断片。

担当教員によるコメント

リアルな素材でありながら、繊細に空気と比重を競い合うような、私的なタイトルを冠してオブジェクトとして割り切ってしまう作品が散見される中、1年生の段ボール課題さながら人の重さへ果敢に挑んだ姿勢を高く評価したい。小さなパーツでの幾多の試行錯誤が、マグロ用のテグスにたどり着く。一つの素材と組み合わせの増殖で重力に抗するというテーマは、まだまだ追求できそうだ。ディティールフェチで段取りが大好きな彼の嗜好がマッチして安心して見ていられる作品だ。

教授・松澤 穣