見えぬものでも あるんだよ

高橋 汐満

作者によるコメント

視覚障害者と晴眼者が一緒に楽しめる美術館。普段視覚に頼りすぎて忘れてしまった理解への様々なアプローチを呼び覚ます空間を提案する。障害とは、感覚とは、鑑賞とは、美術館の立場とは何かをかんがえ、追究した。

担当教員によるコメント

公園の中にある美術館の計画である。特徴のひとつは視覚障害の人でも楽しめるように工夫されていることである。音やわずかな勾配で方向を示したり、弱視の人のためには光で導いたり、さまざまな配慮をしながら、健常者も楽しくたどれる変化に富んだ回遊ルートを作り出している。展示品に触れられること、館内で会話ができることなど、通常の美術館とは異なる鑑賞空間を提案している。もうひとつの特徴は、敷地の特性を活かしていることである。美術館の施設を分棟配置することによって、公園とうまく共存させている。現在この敷地は、周辺の団地の住民にとって憩いの場になっている。池を囲む現状を大きく変えることなく、公園の機能を継承し、さらに良い場所にしている。

教授・岸本 章