spLit 三角形分離型フレームによる椅子の提案
樋下田 知史
作者によるコメント
タイトルであるspLitは分離という意味であり、一本の四角柱を割くように最小数柱体である三角柱に分離させることで横軸、縦軸、奥行きへとフレームを広げながら結合させた。それにより生まれる抜けとエッジから、より軽やかさを持つ端正な椅子をデザインした。
担当教員によるコメント
椅子はデザインされた時代を反映しているものが多い。今日では良くも悪くも効率的な生産を主とした大量で安価なデザインが世界を席巻している。この作品をデザインするスタンスは、その対極であろう。自らの手加工を前提とした木素材によって「薄さ」を表現しようとしている。薄さは「弱さ」ともいえる。工業的な「安定」「強さ」の対極にあるものである。フレームを無垢材として座面から背までを一体成型の積層合板としているが、一見簡単にみえる組み合わせは、いわゆる“逃げ”が効かないもの同士をシームレスに加工するため、想像以上の手間と労力がかけられている。生産性や効率性とは無縁のところにあるが、それが無意味ではないことを示している。
教授・米谷 ひろし
- 作品名spLit 三角形分離型フレームによる椅子の提案
- 作家名樋下田 知史
- 作品情報技法・素材:無垢仕上げハードメープル
寸法:挽き板/T1mm H820×W450×D380×SH440mm - 学科・専攻・コース
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