Oral:phabet

小川 貴之

作者によるコメント

口はそれだけで様々な感情を表します。例えばメールの文面で使われる :Dという顔文字はアルファベットのDが笑っている口を表しています。では、もしそのアルファベットがよく使われるDだけでなく、BやNなど決して使われることのないアルファベットだった場合どのような感情を口は示すのでしょうか。

担当教員によるコメント

文字をイラストレーションと結びつけて表現する方法は昔からある。もののかたちや動物の姿を変形させたり組み合わせたりして、文字の表情をつくり出す。図の意味と単語の意味が重なって、ユーモアに富んだ不思議な感覚をもたらす。たとえば有名なマサンが著した『文字とイマージュ』を見ると、そのような歴史的傑作の数々を一覧できる。小川貴之君の作品は、そうした文字とイラストレーションの結合を平面にとどめるのではなく、3次元空間へと突出させたものだ。巨大な唇、歯、舌をリアルに成形した。この口がAからZまで発音するその瞬間を固定したオブジェは、グロテスクとしかいいようがない。何をやらせても器用な小川君にしかできない、珍しいタイポグラフィ作品である。

非常勤講師・山本 政幸

  • 作品名
    Oral:phabet
  • 作家名
    小川 貴之
  • 作品情報
    技法・素材:タイポグラフィ/石粉粘土、アクリル絵の具、アクリルニス、木、鉄
    寸法:立体/H200×W200×D70mm(26点)什器/H1200×W1200×D600mm(1点)
  • 学科・専攻・コース