PAPER PLANET

嶋田 瑠美子

作者によるコメント

紙とはとても美しい素材だ。紙は加工すると平面から立体となり、更に光の影響で印象はがらりと変わる。そして紙の作品には、時間の経過でいずれ朽ちて無くなる儚い美しさがある。光を自在に操ることができ、視点を限定する写真表現は、私の思い描く「美しさ」の表現を可能にさせた。運搬中も少しずつ崩れる作品の為、撮影は作品完成直後の最も美しい状態を。恐らく、これらと同じ画面は二度と撮影することはできないだろう。光を利用した写真表現、時間の切り取り、立体物の平面化。

担当教員によるコメント

嶋田瑠美子さんの作品は複雑な手続きを経て生まれた。紙を素材にして立体造形を作る。しかも注意深く見ると動物が現れる。その立体作品が最終ではなく、写真に撮らなければならない理由は何故か、考えるところから撮影は始まった。紙で作られた立体物を最も美しく見せるために必要な要素は「光」だ。当初は影の存在をそれほど積極的に取り入れるつもりはなかったようだが、ライティングを試しているうちに影の重要さにも気付いてくれた。ただ、彼女の繊細な感覚を損なわずにするため、極端な光と影の表現は避けた。あくまでも紙の淡い白さを生かした写真表現に到達した。

教授・十文字 美信