スバラシイセカイ

中内 友紀恵

作者によるコメント

どんなに強く願っても届かないことがある。それでもいつか、心が許される瞬間が来るのを待っている。寂しい北国の町で星の写真を撮り続けている男がある夜不思議な少女と出会い、過去の記憶は朝日によって昇天する。札幌を拠点に活動するミュージシャン・安田貴広さんの楽曲「スバラシイセカイ」が持つ切なさ、寂しさ、儚さといった要素をテーマに制作した、全編アニメーションによるミュージックビデオです。

担当教員によるコメント

高校まで吹奏楽部に所属していた中内友紀恵の脳みそには音楽を視覚化する装置が備わっているようだ。前作『祝典とコラール』で見せた打楽器六重奏曲の見事な音楽幻想。細やかに音とシンクロするユニークなオリジナルキャラクターの動きと編集。それと打って変わって本作品で見せたエモーショナルな演出、アニメーションならではのファンタジックな世界観、人物の芝居に力を注いだ作画、時系列を巧みにコントロールした編集……実に心地よく、実に上手い!いずれも音楽にインスパイアされてできた独自のイメージとストーリーであるが、その作風の幅の広さには目を見張る。彼女の飽くなきチャレンジ精神こそが『音楽』をテーマとしながらも、毎回全く新しい作品を作り出す原動力なのだろう。

准教授・野村 辰寿