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高橋 昂司

作者によるコメント

既存の書体と筆跡を掛けあわせ、新たな文字を生み出す作品。生きているかのように形を変えていく所から、顕微鏡を用いて生物を観察する楽しさを訴求した。 本作では、「成長」「観察」「記録」の一連の流れをテーブル上で再現し、書体の持つ固有性をアプローチを変えて体験できるようにした。

担当教員によるコメント

世界最古の文字は、今から約5500年前に発明された「シュメール文字」といわれている。かつて文字は、大切なものに書かれ、人々の思いや意思を伝えるために、岸壁に刻み、木版を彫り、紙を生み出し…その時代時代のさまざまなメディアに記録されてきた。そして今日の文字は、情報化されたネットワーク世界の中で、多様な書体へと進化した。だとすれば、未来の文字はきっと、自らのかたちを自らが自発的に模索し始めるに違いない。
この作品は、顕微鏡をインターフェイス・デバイスとし、フォント自体にアルゴリズムが組み込まれた、ジェネラティブなタイポグラフィに対する観察実験である。タブレットに任意のひらがなを書くと、スクリーンの中でそのひらがなが、微生物のように蠢き始める。

教授・久保田 晃弘