Marooned

新井 誠也

担当教員によるコメント

ホコリと煤煙にまみれた郊外の幹線道路に夜のとばりが訪れる。殺風景な車道のガードレールや歩道橋などに刻まれた経年劣化の痕跡、錆、なにかが衝突してできた傷跡、それらが写し撮られている。人工的な街灯と深夜運行のクルマのライトに照らされて明らかになった微細な痕跡が闇の中に浮かび上がる。作品に記録されているのは人工的な都市構造の一部が切り出されているだけではなく、その場所でしか発生しなかった「必然的な痕跡」と呼べるような特異性をもった事件の跡が記録されているのだ。

准教授・佐々木 成明