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橘和 知里

担当教員によるコメント

黒い絵の具を塗り重ね、削り、再び重ね、削る。こうした作業によって画面は複雑な表情を漂わせ、作品の強靱さと輝きを増す。それは生命の神秘を深め、生命の愛や尊さへと広がっていく。…マンボウのメスが一度に産む卵の数は3億個に達するともいわれ、最も多く卵を産む脊椎動物とされるが、卵は親に保護されることなく海中を浮遊しながら発生するため、殆どが他の動物に食べられてしまい成長できるのはごくわずかである…。
橘和さんの作品は人間の弱さを十分に知り、その上で誇り高く生きなければならないことを暗示させてくれる。

講師・千々岩 修